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児童虐待を描き続けた漫画家が語る「暴力の依存性の強さ」 (1/3ページ)

 子供への虐待、暴力事案は年々増え、警察が児童相談所に通告した子どもの数は2016年で5万人以上、2017年は上半期だけで3万人超と、ともに過去最多を記録した。数字は増えているが、“虐待の本質”は昔から変わっていない。1990年代前半から、虐待を受けた子どもたち、そして虐待してしまう親を描き続けているのが、漫画家・曽根富美子さんだ。彼女の作品のほとんどに、「虐待」「暴力」に晒された人間が描かれる。読む側にもある種の覚悟を求める作風には、作家のどのような思いが込められているのか。曽根さんに聞いた。

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 --『死母性の庭』『子どもたち!~今そこにある暴力~』『パニック母子関係』など、虐待事案に関する綿密な取材を基礎にした作品を多数描かれています。虐待、暴力をテーマにした作品を描こうと思った動機は何ですか?

 曽根:もともと私自身が被虐待児であったこともあると思います。父は酒乱で、とにかく父から逃げなければ危険でしかない日常。母はそんな父との生活の苛立ちを、私にぶつけていました。3~7歳くらいは母から毎日のようにぶたれて過ごしました。

 両親から愛情のような温かさを感じたことはありません。そんな自分の家族関係が、私の作品の根幹になっていると今は思います。無意識のうちにテーマとして選んでいた、という感じです。

 初めは“子どもを愛せない母”という存在に興味がありました。30年くらい前のドキュメンタリー番組で、「頭が良く成績優秀な女性が、結婚し三十過ぎで初めて正解のない子育てを経験し、誰からも“良い点”がもらえない。そのことに苛立ち子どもを叩き始め、自分では止められなくなった。そして夫に助けを求めた」という内容でした。とても印象に残り、『死母性の庭』を描くきっかけになりました。“正解のない子育て”に迷い苦しみ、我が子を虐待してしまう母親--その心情を描いてみたかったのです。

NEWSポストセブン
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