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【大前研一 大前研一のニュース時評】エルサレム問題にはウラがある 「米大使館移転」見て見ぬふりのサウジとエジプト (1/2ページ)

 米国のペンス副大統領は先月22日、訪問したイスラエルの国会で演説し、「2019年末までに米大使館を現在のテルアビブからエルサレムに移転させる」と表明した。トランプ政権が移転時期を明示したのは初めてだ。

 実はトランプ大統領が「イスラエルの首都はエルサレムと認定する」と発言するように働きかけたのは、敬虔すぎるクリスチャンともいえるペンス氏だった。イスラエルのネタニヤフ首相もそのことを知ったうえで、ペンス氏を国会に呼んで演説してもらったのだ。

 これに対し、アラブ諸国は大きな反発をするのかと思いきや、パレスチナ自治政府のアッバス議長らは子供がダダをこねる程度の抗議で終わっている。

 理由のひとつは、米国が「経済支援を打ち切るぞ」と脅したことだ。パレスチナの人たちが飢えてしまうと考えたアッバス議長としては、それ以上突っ込んだことが言えなかったのだろう。演説ではカッコよく抗議していたが、顔からは苦悩がにじみ出ていた。

 もうひとつの要因は、トランプ氏の長女イバンカさんの夫、ジャレッド・クシュナー大統領上級顧問が、サウジアラビアのムハンマド皇太子と強いパイプを築くことに成功し、何度も協議を重ねるうちに、「ここまでならサウジは過激な反応はしない」という感触を得たからだろう。

 また、どちらかというと米国やイスラエルと関係が深いエジプトも、事前に通告されていた。影響力の大きいサウジとエジプトがこの問題については見て見ぬふりをしている。ということで、イランがどう騒いでも、イランとは距離を取ろうとする親米アラブ諸国は、エルサレムの問題については大きな反対をしていない。

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