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【警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識】地震の前に聞こえる地鳴り 「まさかこんなに大きいのが来るとは」 (2/2ページ)

 一方、体に感じないほど小さい地震でも、音だけが聞こえることがある。たとえ地震が起きて地鳴りとして人々が感じても、地震計のごく近くでなければ地震計では捉えられていないこともある。

 都会のように雑音レベルが高いところや琉球諸島のように地震計がとびとびの島にしかないところでは、地震観測能力が限られている。この西表島近海の地震でも、前震としての地鳴りが2~3日前から感じられたのかもしれない。

 ところで大地震のときには、各地で地鳴りを感じたという報告が多い。しかし、これは建物や構造物がきしんだり、瓦(かわら)や家具が揺れたりする音であることが多い。だから、いわゆる地鳴りではない。

 私たちの研究では、地震計で捉えた地面の振動の時間を100~200倍つめて、つまり周波数を高くして、音として聞くことがよくあった。こうすると、本来は聞こえない数ヘルツ以上の地震波が「音」として聞こえるのだ。雑音にまぎれてしまった地震も、こうすれば耳ではよく認識できる。

 物事のすべては、時間をつめて眺められる。私の仲間が硫黄島で記録してきて時間をつめた「音」は、地下でマグマが煮えたぎっているさまが目に見えるような音だった。

 ■島村英紀(しまむら・ひでき) 武蔵野学院大学特任教授。1941年、東京都出身。東大理学部卒、東大大学院修了。北海道大教授、北大地震火山研究観測センター長、国立極地研究所所長などを歴任。著書多数。最新刊に『完全解説 日本の火山噴火』(秀和システム)。