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【忘れない、立ち止まらない 東日本大震災から7年】「美談」を期待して話を聞こうとしていなかったか? 震災報道で改めて教えられた“初心” (2/2ページ)

 ここで聞いた話をうまいこと切り張りすれば、おそらく自分が“思っていたような”記事にはできるのかもしれない。

 だが、それは絶対許してはならない禁じ手だ。たとえ読者は感動してくれたとしても、取材を受けた本人は書かれた内容が作為的なものだと気付き、ガッカリするだろう。

 普段何よりもおそれているのは、取材相手が掲載記事を読んだ際、「自分が話したことと違う」「こんな意図ではなかった」と感じてしまうことだ。それは信頼の失墜を意味し、読者との距離が近い地域紙にとっては自殺行為にも等しい。

 「こんな話では記事にならないのでは?」と尋ねられ、「なります。させてください」と答えた。“シナリオ”に合わせ、話の方を捻じ曲げることだけはしてはならない。ならば、企画の方を変えればいいのだ。

 相手が語ってくれたことを、虚飾なく忠実に再現する…記者が信用してもらう方法はそれしかないと思っている。特に、人の心を知らずに踏みつける可能性が高い震災報道にあたっては、忘れたくない初心だ。改めてそのことを教えられた、あれから7回目の3月である。

 ■鈴木英里(すずき・えり) 1979年、岩手県生まれ。立教大卒。東京の出版社勤務ののち、2007年、岩手県大船渡市・陸前高田市・住田町を販売エリアとする地域紙「東海新報」社に入社。現在は記者として、被害の甚大だった陸前高田市を担当する。