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【長谷川幸洋「ニュースの核心」】米の“台湾派兵”は嵐の予兆 高まる米中の緊張関係…東アジア情勢の不透明感増す (2/2ページ)

 一方、中国には、けん制姿勢を崩していない。

 南シナ海では5月27日、パラセル(中国名・西沙)諸島周辺で、米海軍の軍艦2隻を航行させて「航行の自由」作戦を展開した。

 一連の動きは、緊張が高まっていた米朝関係の陰に隠れて見えにくくなっていたが、トランプ政権は「世界の平和を乱している主敵は中国」と見定めていたのだ。

 米朝関係は6月12日にシンガポールで開かれた米朝首脳会談で一段落したか、に見えた。

 トランプ氏が6日後の18日、中国に対する2000億ドル(約22兆1840億円)規模の追加制裁関税の検討を発表したのは、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が会談で「非核化」を明言したのを受けて、「正恩氏とは直接、話ができる。それなら、もう中国に遠慮する必要はない」と判断したためだ。

 ところが、中国の習近平国家主席はまさに同じタイミングで、北京で正恩氏と3回目の中朝首脳会談を開いた。「正恩氏はオレの手のひらに乗っているんだぞ」と、トランプ氏に見せつけた格好だ。

 いまや、中朝両国の連携は明白である。トランプ政権は北朝鮮と中国を同時に相手にせざるを得ない展開になっている。

 中国に対するトランプ政権の対決姿勢が本物であるとすれば、ようやく実務者協議が始まる米朝交渉の行方も予断を許さない。台湾への海兵隊派遣問題は「嵐の予兆」なのだろうか。

 ■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革推進会議委員などの公職も務める。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。最新刊に『ケント&幸洋の大放言!』(ビジネス社)がある。

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