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中国調査機関の報告書「金融パニック」暴露 衝撃的な内容…短時間でウェブから削除 習政権の対米政策も失敗 (1/3ページ)

 米国との貿易戦争をきっかけに矛盾が噴出しつつある中国。その行く末を予言した幻の内部調査報告の存在が注目されている。「中国発の金融パニックが起きる可能性は極めて大きい」という衝撃的な内容で、中国内部の政策エリートの間でも、極めて強い危機感が共有されていることが分かる。2008年のリーマン・ショックから10年。懸念は現実のものとなるのか。

 波紋を広げたのは、中国の政府系シンクタンク「国家金融・発展実験室(NIFD)」がまとめた調査報告書。米国の利上げと、貿易問題での対立という2つの要因を背景に、中国では「今年に入って債券のデフォルト(債務不履行)や流動性の不足、人民元相場の下落など、金融市場の落ち込みが脅威になっている」と指摘。株の信用買いは、相場が急落した15年以来の水準に達していると分析した。

 こうした状況下で、「金融パニックが中国で起きる可能性は現時点で極めて大きいと考えられる」とし、「この発生と拡散を阻止することが、金融・マクロ経済当局にとって今後数年間の最優先課題であるべきだ」と論じている。

 報告書は6月25日にウェブサイトに一時掲載されたが、政府系経済紙から「理論的根拠がない」との批判を受けて短時間で削除された。だが、筆者の1人であるNIFDの李揚理事長は、経済白書の執筆も手掛けてきた体制内の著名エコノミストだけに、報告書の信憑(しんぴょう)性は高いとみられている。

 中国経済に詳しい第一生命経済研究所主席エコノミスト、西濱徹氏は報告書について「いずれ顕在化するだろうとはいわれていた問題が指摘されており、現状認識としては正しいと思う」と話す。「(中国当局が)正しく対応すれば問題はないというのが報告書の趣旨だと思うが、金融市場が先読みして動く恐れもあったので、公開を取りやめたのではないか」との見方を示す。

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