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【有本香の以毒制毒】「ゴーン容疑者逮捕劇」に見る日本人の“事なかれ”体質… 原始的なインチキをなぜ何年もできたのか (1/2ページ)

 日産自動車を立て直したカリスマ経営者といわれたカルロス・ゴーン容疑者(64)の逮捕劇。一報のとき筆者が連想したのは、ある人の言葉だ。「大日本ことなかれ教団」-。これは日産自動車とは関係ない言葉で、発言主は名古屋市の河村たかし市長である。6年前、財務省が、名古屋市一等地の広大な土地を中国総領事館に売却しようとした際、多くの市民の声を受けて、国に売却をやめるよう陳情したときに、国の姿勢を批判しての一言だった。

 日本の土地を外国人、外国の組織が自由に買える現状には問題がある。そう認識しながら、一向に対策を考えようともしない。土地の問題だけではない。国防から社会保障まで、問題は多くあるのに見ようとしない。この「事なかれ主義」は、永田町はじめ日本の至るところに今も濃くある。

 ゴーン容疑者が日本に乗り込んだときも、そして今回の件でも、日産の日本人経営者側に、この体質があったのではと思う。

 逮捕から数日がたち、日仏両国のメディアでは、ルノーとの経営統合の話や、日本人経営者らとの溝といった事件の背景が報じられている。そこから想像をたくましくして国際陰謀論をぶつ「識者」もいるが、逮捕案件となった以上、部外者の推論、予断を弄んでも意味がない。

 そういう、一見意味ありげな空論よりむしろ、筆者が一報からずっと気になっているのは、逮捕理由そのものである。

 有価証券報告書の虚偽記載。よりによって取締役の報酬額という、最もごまかしようのなさそうな項目を過少に書いた。いまどき社員数人の零細企業でもできなさそうな原始的なインチキを、日産ほどの大企業で何年にもわたり、どうしてできたのか。監査役や監査法人は何をしていたのか。経理担当の役員や、取締役会は機能していなかったのか。

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