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【大前研一 大前研一のニュース時評】増税再延期で「衆参ダブル選」強行? 必ずしも安倍首相に有利になるとは… (1/2ページ)

 7月の参院選に合わせ、衆参同日選の可能性が取り沙汰されている。安倍晋三首相は「頭の片隅にもない」と否定しているが、自民党内には「10月に予定される消費増税を再延期したうえで同日選を仕掛ける」という話も広がっている。

 ダブル選挙は与党に有利とされる。単独の選挙の場合は野党間の候補者調整もやりやすいが、同日選挙ではそれぞれの政党が議席獲得に進むため、選挙協力が難しくなるからだ。また、投票率も上がるので、浮動票に依存する政党に有利になる。

 1986年、私は中曽根康弘首相に衆参同日選挙をアドバイスし、実際に手伝った。いわゆる「死んだふり解散」だ。当時は投票に行かない人の多くが「隠れ自民党支持者」だったので、投票率が上がった同日選で、予想に反し自民党は衆参両院で圧勝した。

 その前の80年のダブル選挙も、大平正芳首相が選挙期間中に急死して弔い選挙となったこともあって自民党が勝った。過去2回とも圧勝しているので、自民党内では苦戦が予想される参院選のテコ入れになると期待されている。

 しかし、94年に衆院選の選挙制度が中選挙区制から小選挙区比例代表並立制に変更されて以降、一度も衆参同日選挙は行われていない。中曽根さんのときの成功体験をそのままやっても、自民党に追い風とならない可能性もある。連立与党を組む公明党も、集票力が安定している分、投票率の上昇は逆風になる。

 当初の計画では、6月の大阪G20サミットでロシアのプーチン大統領が来日した際に北方領土交渉を進め、中途半端ながらも歯舞、色丹の2島返還を実現させて平和条約を締結し、内閣支持率を大きく上昇させたうえでダブル選に打って出るというシナリオだったはずだ。しかし、ロシアとの交渉は足踏み状態で、安倍さんにとって何のプラスにもならない。

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