記事詳細

【部下がついてくる!「角栄流」上司の心得】「クヨクヨせんで、一杯やったらどうだ」外務官僚も懐柔、田中シンパが急増 (1/2ページ)

★究極の人心収攬術(2)

 田中角栄の判断、決断力の的確さは、誰もが一目置いたものであった。こうしたなかで、部下である官僚も度々、窮地を救われ、上司としての田中に信頼感を高めていったのだった。好例が2つある。いずれも、日中国交正常化交渉の最中の話である。

 正常化交渉は“出たとこ勝負”の綱渡り交渉の趣があった。実務者レベルの協議で、外務省の高島益郎(ますお)条約局長が日中間の賠償問題について、「日本が多数講和(サンフランシスコ平和条約)を結んだときに、すべて解決済み」と発言した。これに中国側が反発、高島局長を「法匪(ほうひ=法律知識を悪用する法曹関係者)」ととがめ、国外退却令を出したのだった。

 その直後の首脳会談で、田中は首相の周恩来にこう詰め寄った。

 「代表団の一員が帰れと言われれば、全員が帰らなければならないことになる。それで、よろしいのか」

 まあ理屈に近いが、中国側もできればこの交渉はまとめたい。周恩来はシブシブ退却令発言を撤回、交渉は再開を見たのだった。田中はこの交渉に前向きな中国側のハラを一瞬で読み切り、“全員帰国”で迫ったということだった。

関連ニュース