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【日本の元気 山根一眞】福島第一原発、無人工事ロボットで挑むエイブル社 いよいよ撤去工事開始へ (2/2ページ)

 その福一でどうしても見たかったものがある。それは、このコラムの17年11月25日発行で書いた『下請け超えた技術で福島原発廃炉に挑む「高度支援企業」』エイブル社(福島県広野町)が取り組む、新たな挑戦だ。それは1号機と2号機の間にある高さ120メートルの「排気筒」の撤去工事で、同社が担当することになったのである。

 原子炉の破綻を防ぐため苦渋の決断として放射性物質を多量に含む蒸気を大気中に放出、多くの人々を苦しめることになった放出源が、この「排気筒」だ。地震の激しい揺れで損傷した部分があり、今後の廃炉工事の支障にもなるため撤去は大きな課題だった。

 排気筒内は放射線汚染されており、工事用ロボットによる無人施工が条件だ。その工事用ロボットの開発には「数年かかる」という大手企業を尻目に受注したエイブル社は、それをゼロから設計し、わずか8カ月で壮大な工事用ロボットを完成させたのだ。

 昨年秋から自社敷地内に建設した模擬排気筒で訓練を続け、4月半ばに福一に搬入。いよいよ撤去工事が始まるのだ。私は、排気筒のそばにスタンバイしている工事用ロボットを見て、一日も早く廃炉を全うしたいという福島地元企業チームの熱い思いにジンときてしまった。周辺にはセキュリティー上、撮影禁止の部分が多くあり、カメラを向けるのが難しかったが、何とかその威容を捉えることができたので紹介します。頼みますよ、エイブルさん!

 ■山根一眞(やまね・かずま) ノンフィクション作家、福井県年縞博物館特別館長。愛地球博愛知県総合プロデューサーなど多くの博覧祭を手がけてきた。近刊は『理化学研究所 100年目の巨大研究機関』『スーパー望遠鏡「アルマ」の創造者たち』。雑誌「週刊東洋経済」で「新・メタルカラーの時代」を連載中。理化学研究所名誉相談役、JAXA客員、福井県文化顧問、獨協大学非常勤講師、日本文藝家協会会員。

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