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【ケント・ギルバート ニッポンの新常識】川崎殺傷で考えた「過剰報道は犯人を満足させ模倣犯生む」 問われるメディアの報道姿勢 (1/2ページ)

 川崎市多摩区でスクールバスを待っていた児童ら20人が殺傷された事件をめぐり、メディアの報道姿勢が問われている。事件を取材すること自体が間違いとは言わないが、事件の被害者や関係者に対する執拗(しつよう)な取材活動には、私も疑問を感じている。

 報道に関する疑問は、ニュージーランドのクライストチャーチで今年3月、モスク(イスラム教礼拝所)2カ所が襲撃されて、同国史上最悪の50人が死亡する銃乱射事件でも指摘された。

 犯人は卑劣にも襲撃をインターネット中継していた。警察からの連絡でアカウントはすぐ取り消されたが、複数の報道機関が数時間にわたって犯行映像を拡散し続けたという。「犯人の檄文(げきぶん)」を放送したテレビ局まであった。これらは「悪質」というしかない。

 多くの犯罪学者やジャーナリストが、「過剰報道」への警鐘を鳴らしている。犯人による社会への不満や、宗教的差別、反社会的行動を、是認しかねない危険性があるのだ。犯人が求めている「世間の注目」を満足させて、模倣犯を生む危険まである。これは絶対に避けなければならない。

 ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は国会演説で、「犯人は自身の悪名をとどろかせようとした」「私が今後、この男の名前を口にすることはない。彼はテロリストで、犯罪者で、過激主義者だ」「命を奪った犯人の名前ではなく、命を失った人々の名前を声に出してほしい」と訴えた。私は「その通りだ」と思った。

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