記事詳細

【高橋洋一 日本の解き方】香港のデモと「一国二制度」 法改正で中国当局が悪用の危険性、日本人に身の危険及ぶ恐れも (1/2ページ)

 香港で「逃亡犯条例」改正案に反対する大規模デモが起き、香港政府は審議の延期を発表した。「年内に審議入りするのは不可能」というが、「決して撤回しない」といい、事態は予断を許さない。改正案が通れば「一国二制度」がさらに形骸化するとの懸念が強く、台湾や日本への悪影響も予想される。

 一国二制度とは、中国本土から分離した領域につき、主権国家の枠組みの中という前提で一定の自治や国際参加を可能とするものだ。

 現状では英国の植民地だった香港と、ポルトガルの植民地だったマカオで実施されている。香港とマカオの制度も異なるので、実際には「一国三制度」といえる。

 ただし、香港もマカオも中国領なので中国の主権が及ぶ。つまり、香港やマカオの制度はそれぞれ固有のものではなく、全て中央政府から与えられたものというのが、中国の公式見解である。

 例えば、香港の裁判所でも、一部の法の解釈については解釈権を有せず、全国人民代表大会(全人代)常務委員会に解釈を求める必要がある。

 全人代や憲法の上に中国共産党が存在するので、民主主義先進国の統治機構とはかなり異なっていることに留意しなければならない。

 中国が「一国二制度」という場合、制度とは経済制度の意味であり、政治制度ではない。共産党1党独裁の中国では、先進国のような普通選挙は行えない。2017年からの香港の普通選挙制度について、事実上の香港親中派が優遇されたのは、中国の一国二制度の本質を表している。

 日本のAKB48グループの中国進出の際にも、中国当局はグループの「総選挙」(人気投票)に神経をとがらせていたという話もあるくらいだ。中国の若者が人を選ぶ楽しみを知ったら、大変なことになる。対中民主化政策というなら「AKB総選挙」の活用を真剣に考えてもいいくらいだ。

関連ニュース