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北朝鮮漁船が韓国の港に接岸「携帯貸して」 警戒網の穴に非難殺到

 【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮の漁船が日本海上の軍事境界線に当たる北方限界線(NLL)から南約130キロの韓国の港近くに接岸し、乗っていた4人のうち2人が亡命申請していたことが分かった。南北が軍事分野の合意を交わし、緊張が緩和する中、漁船が韓国海軍や海洋警察、地上のレーダーという三重の警戒網を突破していた実態に批判が集まっている。

 鄭景斗(チョンギョンドゥ)国防相は19日の会議で「警戒の失態をつぶさに省みる」と述べ、責任者に厳しく対処し、再発防止に努める方針を強調した。

 乗っていた4人はいずれも民間人で、当局への説明などによると、9日に北朝鮮北東部の鏡城(キョンソン)を出航。操業を装って北朝鮮漁船の群れに紛れ、NLLを越えた。途中、流されることもあったが、14日夜に韓国東部、三●=こざとへんに歩の漢字のうち、歩の「、」を取る=(サムチョク)港沖で待機し、15日早朝に同港の防波堤近くの埠頭(ふとう)に接岸した。うち1人は地元住人に「北朝鮮から来た」と告げ、ソウルに住むおばに連絡したいので「携帯電話を貸してほしい」と話したという。

 当局は当初、「韓国漁船が通報した」と海上で漂流船を発見したようなニュアンスで発表したが、陸上で住民が警察に通報したため状況を認識できたのが実態だった。当局は「木造の小型船の探知は難しい」と釈明している。2人は当初から脱北する計画で、亡命を申請したため、当局が引き続き事情聴取している。残る2人は帰還を希望したため、18日に板門店(パンムンジョム)を通じて北朝鮮側に引き渡した。(産経新聞)