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【語り継ぎたい天皇の和歌】天地を敬い、つねに民と共に生きる (1/2ページ)

 6月20日は、大正天皇のご長男、皇太子裕仁親王(のちの昭和天皇)と良子女王(のちの香淳皇后)の御婚約の勅命がくだされた日です。1922(大正11)年のことでした。

 「しばらくは世のうきことも忘れけり幼き子らの遊ぶさまみて」という歌をお詠みになられていた大正天皇はどれほどお喜びになられたことでしょう。

 大正天皇には次のような御製もあります。「庭の面(も)にもえたる蓬(よもぎ)つみためてさきのみかどにそなへまつらむ」。亡き父君である明治天皇の御魂に御自身で摘まれた蓬をお供えされた大正天皇。

 漢詩に長(た)け、生涯に千数百もの作品を残した大正天皇は四百数十首の和歌もお詠みになられています。「山水の清きながれを朝夕にききてはすますわが心かな」といった和歌の伝統を踏まえた作品の他、カタツムリや若鮎を詠むなど、慣習にとらわれない自由で清新な作品が大正天皇の和歌の特色でした。

 昭和天皇の和歌の指南役として知られる岡野弘彦さんは、「こまやかで鋭い物の見通しとそれを短歌表現にさわやかに凝縮してしらべ豊かに歌う、すぐれた才能」だと大正天皇について語っています。「その面の才能においては近代の天皇の中で随一の力を持っておられたのが大正天皇」だとも評しています。

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