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【語り継ぎたい天皇の和歌】天空仰ぎ悲劇と闘った「月の名手」 (2/2ページ)

 大変な辛苦を味わった三条天皇でしたが、幾首もの月の名歌があります。「秋にまた逢はむ逢はじも知らぬ身は今宵ばかりの月をだに見む」(再び秋に逢えるか逢えないかもわからない身はせめて今夜だけでもこの美しい月を心ゆくまで眺めていよう)という作品。長年親しく仕えてくれた人物が出家した際にも、次のような歌を詠まれました。

 「月かげの山の端(は)分けて隠れなばそむくうき世を我やながめむ」(月が山の稜線に隠れるように貴方がもし出家してしまったなら、この辛い憂き世を私はどう過ごせばいいのだろうか)。

 月を愛で、多くの月を詠まれた三条天皇を月はいつも見護ってくれていました。天空に浮かぶ月を仰ぎつつ、偲びたい三条天皇です。(歌人、作家・田中章義)

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