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【警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識】いまから67年前、深さ60~70キロなのに… 震源が深くても大被害を生んだ「吉野地震」 (2/2ページ)

 それは6年前の46年に起きて甚大な被害を生んだ南海地震のせいで倒壊した石灯籠の仮復旧しか終わっていなかったので、まだ不安定な状態だったからだ。南海地震はM8。1300人以上の死者を生んだ大地震で、恐れられている南海トラフ地震の先祖のひとつである。

 また石灯籠の間隔が狭くて密集していたので将棋倒しのように倒れたから、震動の目安にはなりにくかった。

 余震の数は震源が深くなるほど少ない。この吉野地震も4回だけだった。最大の余震はM4・1で、本震よりもはるかに小さな地震だった。

 日本列島の地下深くには2つのプレートが通っている。太平洋プレートは日本海溝から潜り込んで、列島の下を通りぬけ、日本海を斜めに横断して深さ700キロのロシア東部にまで達している。

 他方、西日本の地下に潜り込んでいるフィリピン海プレートは140キロの深さまで達している。

 これらのプレートは深いところで地震を起こすこともあるが、地表から遠いので被害を起こすことはめったにない。

 この吉野地震は地下深くを通っているフィリピン海プレートが起こしたものだが、なぜこの地震がここで起きたのかはいまだにナゾだ。

 日本直下でこのように深いところで大きな被害地震が起きたことは珍しいのである。

 ■島村英紀(しまむら・ひでき) 武蔵野学院大学特任教授。1941年、東京都出身。東大理学部卒、東大大学院修了。北海道大教授、北大地震火山研究観測センター長、国立極地研究所所長などを歴任。著書多数。最新刊に『多発する人造地震-人間が引き起こす地震』(花伝社)。

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