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「世の中に 辛い試練も ありしけど…」あいりん地区に溢れる人情 大阪・西成警察署、異例の「労働者の詩集」発行 (1/2ページ)

 日本最大級の日雇い労働者の街である大阪市西成区のあいりん地区。所轄の大阪府警西成署は、労働者の短歌や俳句をまとめた詩集の発行や、衣類の無償提供といったユニークな取り組みをしている。署の担当者は「世間から懸け離れた場所と思われがちだが、実は違う。人情味にあふれる面が多い」と話す。

 「おっちゃん、そのシャツ似合うで。持って行き」。7月上旬、地元の公園に労働者ら約300人が集まった。目的は、西成署と地域住民でつくる団体による衣類などの無償提供。夏本番を控え、全国から送られた肌着や日用品を労働者らが次々と受け取っていく。

 あいりん地区には路上生活者が多く、署は衣類の寄付を随時受け付けている。毎年数千点が届き、希望者は要件を満たせばいつでももらえる。

 労働者をいたわろうと1975年から始めたのが、年1回の「あいりん労働者の詩集」発行。時節に合わせ詠んだ俳句や短歌、川柳などを署に持ち込んでもらう。昨年末はカレンダー付きで約30ページのA4判冊子を700部印刷し、衣服の寄付団体などに配った。担当する同署防犯コーナーの上和幸室長は「全国の警察署の中でも唯一の取り組み」と話す。

 西成署の犯罪認知件数は大阪府内でもトップクラスの多さだが、さまざまな事情から出自や経歴を普段明かさない労働者の心情の吐露に、署員らは「心打たれることばかりだ」と口をそろえる。

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