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【勝負師たちの系譜】心に残る先輩の言葉 「優勢な将棋は“真綿で首を絞めるような”勝ち方が一番」 (1/2ページ)

 花村元司九段は、任侠(にんきょう)と人情の棋士だった。

 静岡県浜松市の生まれで、若い頃の豊橋時代から花札、将棋、囲碁を始め、勝負事に天賦の資質があり、豊橋の親分から「俺の後を継げ」と言われたという話がある。

 将棋の実力は、若い頃の升田幸三六段(当時)が角落ちでは勝てなかったというから、もはやプロ並みで、師匠の木村義雄14世名人の推薦もあり、いきなりプロ五段の試験を受けた。

 6局指して3勝すれば合格の試験に、いきなり2連敗したが、後を4連勝して花村は付け出し五段でプロ入りを果たした。

 プロになってからは、名人戦の挑戦者になり、またA級16期という成績を残したが、タイトルには届かなかった。

 豪快に見えて酒は飲まず、人情には厚かった。内弟子をした棋士によると、競輪場で行く宛てがない人を自宅に何カ月も住まわせたこともあったと言う。

 森下卓九段は特に可愛がられ、千局ほど指してもらった。奇手・妙手を駆使し、「終盤の鬼」と言われた割には「優勢な将棋は真綿で首を絞めるような勝ち方が一番」と教えた。森下将棋の手堅さは、師匠の教えそのものである。

 私は花村九段の弟子の池田修一七段と仲が良かったので、彼の地元の八戸将棋まつりには、毎年のように同行させて頂いた。

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