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【高橋洋一 日本の解き方】「コロナ・ショック」で…日銀にできることはまだある 国債購入額を「年80兆円」に戻せ! 政府も国債発行で協調姿勢を (1/2ページ)

 株式市場の暴落が続き、9日の外国為替市場では一時、1ドル=101円台まで円高ドル安が進んだが、黒田東彦(はるひこ)総裁の緊急会見などは開かれなかった。まるで、リーマン・ショックの際、他の中央銀行が大規模の金融緩和に乗り出したのに、何もしなかった白川方明(まさあき)前総裁を見ているようだ。

 円高は、米連邦準備制度理事会(FRB)が金融緩和に動く際、日銀が動こうしないので起こる。

 円高は海外資産を購入しようとする投資家にとっては不都合ではない。輸入業など業種によっても不利にはならない。しかし、日本経済全体から見れば、10%の円高は実質国内総生産(GDP)を0・2~0・3%程度低下させるので景気にマイナスだ。

 こうした自国通貨高の景気に対する悪影響はほとんどの国で見られる。どこの国でも、輸出部門は国際市場で活躍する優良企業群なので、それらにダメージがあると国内経済全体に影響を与えるからだ。

 実際のところ、黒田総裁は、為替に関し何も権限を持っていない。今の日本の制度では、為替管理は財務大臣の権限なので、日銀は円高を放置していても責任を取る必要がない。

 本コラムで何度も書いているように、為替は両国間の通貨量の比で基本的に決まる。つまり、2国間の金融政策の差で決まるのに、日銀ではなく財務省に権限があること自体が時代錯誤的な制度になっている。

 財務省出身の黒田総裁は、この制度を十分に知っているので、あえて声も出さずに円高を放置しているとも言える。日銀総裁が下手に口に出せば、古巣の財務省への越権行為にもなるので、黙っている。

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