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【長谷川幸洋「ニュースの核心」】男性職員の手記が問いかけた“財務省の本性” 佐川氏はじめ関係者は自ら“真実”語れ (1/2ページ)

 学校法人「森友学園」への国有地売却に関わる公文書改竄(かいざん)問題で、自殺した財務省近畿財務局の男性職員がしたためていた手記が明らかになった。公開された手記を読むと、職員が財務省理財局の指示を受けて、心ならずも、改竄作業に加担させられた状況がよく分かる。

 よほど責任感が強かったのだろう。「抵抗したとはいえ関わった者としての責任をどう取るか、ずっと考えてきました」という短い一文には、官僚としての強い矜持(きょうじ)と覚悟がにじみ出ている。

 職員は罪を背負い込んだ贖罪(しょくざい)意識と上意下達が絶対である「官僚の掟」の板挟みになって、苦しんでいたのだ。自分が信じてきた財務省という組織が、平然と脱法行為に手を染めた事実に、自分自身が裏切られ、否定された思いだったのではないか。

 そのうえで選んだ選択が自死だった。改めて、心からご冥福を祈りたい。

 職員の妻は、当時理財局長だった佐川宣寿氏と国に計約1億1260万円の損害賠償を求め、大阪地裁に提訴した。妻は弁護団を通じて、「今でも夫のように苦しんでいる人を助けるためにも、どうか佐川さん、改竄の経緯を本当のことを話してください」とコメントしている。

 私はコメントを読んで、逆説的だが、少し救われる思いがした。亡くなった職員だけでなく、真面目に仕事に取り組んでいる役人がいる、と分かったからだ。「組織を守るためなら、何でもあり」の官僚ばかりだったら、この国の将来は危うい。

 野党は手記の公開を受けて、政府か国会に第三者委員会をつくって事件の再調査をするよう要求した。だが、政府は「検察が捜査して、すでに結論を出している。第三者委員会を言うなら、検察以上の組織はない」として再調査を拒否している。

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