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「脱北者ビラ」を見てしまった北朝鮮軍人の残酷な末路 (3/3ページ)

 近代刑法では、行為者の行為によってのみ犯罪が成立するという原則があるが、北朝鮮では行為者のみならずその家族、親戚まで罪に問われる連座制が適用される。今回の事例では、妻と子どもたちは国家保衛省(秘密警察)管轄の管理所に、妻の弟やその家族は社会安全省(警察庁、旧称人民保安省)管轄の管理所に連行された。管理所とは政治犯収容所のことだ。

 通常、このような場合に当局は、配偶者に離婚する選択肢を与える。離婚することで容疑者との関係がなくなり、処分を免れるからだ。ところが、今回はその意思確認もないままに、家族全員が収容所送りにされてしまった。神聖不可侵なる最高指導者に関する案件である上に、ビラが問題になっている時期であるため、敏感に反応したのだろうというのが情報筋の見立てだ。

 (参考記事:男たちは真夜中に一家を襲った…北朝鮮の「収容所送り」はこうして行われる

 一方で大隊長の息子に関しては、事情が異なる。大隊長が「息子が『米・日・南朝鮮(韓国)の傀儡一味は、自分に直接の被害を与えたことはない。むしろコメもくれず、うちの父親を除隊させたこの国の方がもっと悪いんじゃないか』と言うので、『言葉に気をつけろ』と注意した」と語ってしまったのだ。

 父親である大隊長が余計なことさえ言わなければ、すぐに殺されることはなかっただろうが、この発言で、息子の処刑は必至と囁かれているとのことだ。

 今回の即決銃殺を目の当たりにした軍内部は、恐怖にふるえているという。大隊長の銃殺は、「言葉に気をつけろ」という意味合いでの見せしめになったということだ。

 (参考記事:「手軽な見せしめ」公開処刑を止められない金正恩の病弊

デイリーNKジャパン

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