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登録有形文化財の「源ケ橋温泉」が廃業 「設備維持費が高額だった。建物だけでも残したい…」

 建物が国の登録有形文化財になっている銭湯の1つ、大阪市生野区の「源ケ橋温泉」が4月に廃業の届け出を大阪府公衆浴場組合に提出していたことが分かった。施設の老朽化のため2019年1月から休業中だった。経営していた中島弘さん(77)は「設備維持費が高額だった。建物はなんとか残したい」と話しているが…。

 建物は木造2階建ての瓦ぶき。中島さんによると、1937年に地元の地主が造った。父親が42年に購入し、50年ほど前に中島さんが継いだ。ヒノキやイタリア産の大理石を使った重厚な内装と、「自由の女神」の彫像が付いた洋風窓などをあしらったユニークな外観が特徴だ。都市の木造公衆浴場の好例として、文化庁が98年に登録有形文化財にした。風呂場や脱衣場の天井が高く、開放感があり居心地が良いと評判だった。

 建物やボイラー、煙突の修繕のための休業だった。「家に風呂がない」と通う常連客もおり、中島さんは再開を目指したが、3000万円以上の費用を捻出できる見込みがなく、廃業を決めた。腰を痛めて毎日3時間の掃除ができなくなったことも大きかった。

 新型コロナの流行も建物の存続に影を落としている。中島さんは「このままでは建物があまりにもったいない。いっそ行政の所有にしてくれたら良いのだけれど」と頭を悩ませている。

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