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【編集局から】どんな政治家や候補者も「世評」「世論」の呪縛からは逃れられない

 東京都知事選(7月5日投開票)では各候補が熱戦を繰り広げています。候補者への罵詈(ばり)雑言が落書きされていたり、「選挙の声がうるさい」と選挙カーをたたいたりする事例もあったようですが、こうした“世評”にも考慮しなければならない点は「民主主義」の大変さでしょうか。

 ある地方議員の話。自身の選挙区の住宅地図に蛍光ペンで、「あれは誰のシマ」「○○党の強い地域」と自ら色分けしていたそうです。支持者の元に挨拶に向ったところ、運悪く介護中のヘルパーに「忙しいんですけど!」と怒鳴られることも。地元の名士であっても「ドブ板」は避けられないようです。

 記者の地元には半世紀以上前、現在の市の基礎をつくったという市長がいました。戦前に関東軍の法律顧問や満州国の高級官僚を歴任した大物ですが、定期的に市民の意見を直接聞く席を設けた、と郷土史料で伝えられていました。

 大学時代の講義では、ある政治学教授が200人ほど入る大教室で、「日本の政治はいいと思う人」と尋ねたところ、手を挙げたのは記者含め1ケタでした。どんな政治家や候補者も「世評」「世論」の呪縛からは逃れられない気苦労を察すると、そんなに悪口も言えません。(S)