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【高橋洋一 日本の解き方】最低賃金、事実上の「据え置き」は雇用確保の面で一定の合理性 コロナ禍で景気回復の遅れ懸念、下手に引き上げると… (1/2ページ)

 中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)の小委員会は2020年度地域別最低賃金の引き上げの目安を示さず、事実上の据え置きになった。

 これまで政府は、良好な雇用環境を反映し、最低賃金について19年度まで4年連続で3%以上の引き上げで、早期に全国平均で1000円を目指すとしていた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大による経済は著しく悪化し、賃金より雇用確保に軸足を移している。

 最低賃金については、どのような伸び率にするか、雇用の観点から合理的に考えるべきだ。大ざっぱな計数であるが、最低賃金の上昇率は、5・5から前年の失業率を差し引いた数値程度が結果として適切になっている。

 ちなみに、民主党政権は最低賃金で失敗した。10年の最低賃金は引き上げるべきでなかったが、左派政権であることの気負いと経済政策音痴から、前年比で2・4%も最低賃金を引き上げてしまった。前年の失業率が5・1%だったので、それから導かれる無理のない引き上げ率はせいぜい0・4%程度だった。

 そこで、今年の失業率がどの程度になるだろうか。本コラムでは、何もしなかったら失業者は200万~300万人程度、失業率にすれば3~5%程度悪化すると警告してきた。幸いにも、安倍晋三政権は、1、2次補正予算でかなり「真水」を出した。国際通貨基金(IMF)による国際比較で、「真水」に相当する財政出動・減税措置の対国内総生産(GDP)比を調べたものがあるが、日本は11・3%と先進国の中で米国に次いで2位の高さである。

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