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【菊池雅之 最新国防ファイル】タイ海軍近代化のシンボル、日本製の潜水艦「マッチャーヌ」 (1/2ページ)

 タイの首都バンコクの中心部から電車で30分ほど南へ向かうと、タイ海軍学校駅がある。高架式の駅から広い中庭を持つ赤い瓦の校舎を見下ろすことができる。ここが「タイ海軍学校」だ。士官候補生から下士官まで幅広い教育を行っている。

 中庭には装甲車両から飛行艇まで、かつてタイ海軍が運用していた装備が展示してある。その中に、潜水艦「マッチャーヌ」のセイル部分(=潜水艦の背面にある塔のような構造物)がある。芝生の下に船体が隠れているかのように、海軍学校の玄関前に鎮座しているため否が応でも目を引く存在だ。

 実はこの潜水艦、日本で建造され、タイ海軍で運用されていた。

 1933年、タイは海軍を創設した。かつてシャム王国と呼ばれていたころから軍事交流があったこともあり、日本が力を貸すことになった。

 近代化海軍を目指すには、優れた軍艦が必要だ。後に「タイ海軍の父」と言われるチュムポーンケートウドムサック親王は、海軍整備計画の1つとして、日本に軍艦の建造を発注した。川崎重工業で作られた「トンブリ」級海防戦艦は、フランス極東艦隊と戦うために必要不可欠だった。また、浦賀造船所で作られた「メクロン」は、戦後タイ海軍でも使用され、驚くべきことに73年まで現役だった。

 こうした流れの中で、潜水艦部隊も新編することになった。この潜水艦建造を三菱重工が受注し、36年、神戸造船所にて起工した。2隻ずつ、計4隻が建造されることになった。

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