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岸田氏、狭まる包囲網…敗れれば反主流派に?「迷惑をかけて悪いね」 自民党総裁選

 自民党総裁選に出馬する意向の菅義偉(すが・よしひで)官房長官を麻生派(志公会、54人)などの主要派閥が相次いで支持する方向となり、岸田文雄政調会長が窮地に追い込まれた。それでも出馬に意欲を示す岸田氏だが、足元の岸田派(宏池会、47人)からも菅氏になびく議員が出かねない厳しい情勢だ。

 菅氏は31日、初当選同期の有志から出馬要請を受けた。中には岸田派の竹本直一科学技術担当相の姿もあった。

 「雪崩が起きないようにしなければ…」

 岸田氏側近はこう語り、唇をかみしめた。岸田氏は安倍晋三首相との信頼関係をてこに、首相の出身派閥の細田派(清和政策研究会、98人)や麻生派の支援を期待していた。しかし、菅氏が出馬の意向を固めると状況は一変し、「菅氏支持の大きな流れ」(党幹部)ができた。

 宏池会には総裁選をめぐる苦い過去がある。昭和45年の総裁選で、出馬に意欲を示した当時の前尾繁三郎会長は、4選を目指した佐藤栄作首相から内閣改造での優遇を約束され、立候補を見送った。しかし、佐藤氏は4選後、内閣改造を見送り、前尾氏は若手の猛反発を買って会長の座を追われた。安倍首相からの「禅譲」を期待して平成30年の前回総裁選への出馬を見送った岸田氏とも重なる。

 だが、岸田氏が今回も立候補しなければ、派内の求心力低下は避けられない。31日の記者会見では「諦めることなく、強い気持ちで戦い続けたい」と重ねて意欲を示した。

 岸田氏は他派閥の支持が確約されておらず、敗れれば岸田派が「反主流派」になる可能性もある。岸田氏は「迷惑をかけて悪いね」と周囲に語るが、その決意とは裏腹に、結束が問われる局面で「刃こぼれだけは避けなければいけない」(岸田氏側近)との危機感は拭えていない。(永原慎吾、長嶋雅子)