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【日本の元気 山根一眞】新たな小説の楽しみ方! 思い出した編集者の名言「受賞に値する作品は…」 (1/2ページ)

 目が覚めたら午前0時を過ぎていた。大学の春学期(前期)の遠隔授業が終わり、400人以上の受講生のリポート、およそ2500ページ分の成績採点をやっと終えた夕食後、ソファでちょっと横になったら眠りに落ちてしまった。この3カ月、これほど体力を消耗したことはなかったが、やっと解放されて爆睡してしまったのだった。

 目が覚めると、ふと、そばに小説雑誌『オール讀物』(文藝春秋)8月号があることに気づいた。この数カ月、小説雑誌を読む暇さえなかったので、ちょっとわくわくしながら手にした(9・10月合併号は直木賞特別号だが)。

 同誌は来年創刊90周年になるが全420ページという分厚い活字媒体が元気であることは、物書きの端くれとしては喜ばしい。編集後記で大沼貴之編集長が「小説誌も不要不急なものですが、普段よりも多くの方が手にとってくれています」と記している。コロナ禍で生じた時間の余裕が小説を読む習慣を広げているようで、こんなコロナ禍のプラス面もあったのだ。

 この『オール讀物』の目次を見て大発見! 8月号の売りは「人気作家夏祭り・読切競作・出逢いと別れ」で7人の小説家の作品が並んでいるが、何とすべて女性作家ではないか。7人の女性小説家のうち最も若い1981年生まれの柚木麻子さん(39)を除く6人の平均年齢は約57歳。還暦目前のおばちゃま作家たち、頑張っているんですね。

 一気に420ページを読んでみるかと思ったが、ここで、かつて文学賞応募作の下読みをしていた編集者が話してくれた言葉を思い出した。「受賞に値する作品は最初の数行を読むだけでわかるんですよ」

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