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観光列車は“ミッドレンジ価格帯”の時代に? 新登場「WEST EXPRESS 銀河」「36ぷらす3」の戦略 (2/5ページ)

 客室設備は種類が豊富で、6両編成の車両ごとに異なる配置である。普通車指定席は座席間隔を広げ、リクライニング角度も深くした。ベッドタイプの「クシェット」は、ブルートレイン時代の2段式B寝台に似ている。こちらはサンライズ出雲/瀬戸の「ノビノビ座席」に相当し、普通車指定席として販売される。

 1号車はグリーン車で2座席分の幅を1人で使うというぜいたくさ。「ファーストシート」という名の向かい合わせボックスシートだ。両側の背もたれを倒すとベッドになる。ダブルベッドとはロマンチックだけど、夜行では1ボックスにつき1人用で販売する。6号車は個室タイプが用意された。1人用が1室、2人用が4室。2人用は昼行では3人まで利用できる。このほか、4号車は全て共用ラウンジとなるほか、1号車、3号車、6号車にフリースペースがあり、眠れない人々に談話室を提供する。

 画期的な座席の半面、定員数が少なくて営業的には心配でもある。もちろん新造車両ではなく、国鉄時代に京阪神の快速列車用として製造された「117系電車」をリフォームしている。室内は新品、躯体は1980年製の中古物件だ。製造から40年もたった電車だけど、JR西日本は資金難という事情もあって大切に整備している。

 117系電車は素性もいい。国鉄が関西の並行私鉄に対抗するため設定した「新快速」専用に作った高性能車両だ。乗り心地をよくするため、当時は特急車両だけで採用された空気ばね(エアサスペンション)を搭載した。夜行列車としての乗り心地も悪くないはず。

 「WEST EXPRESS 銀河」のコンセプトは「手軽に利用できる観光列車」だ。JR西日本は最高級のクルーズトレイン「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」を成功させた。価格は1人あたり32万5000円~132万5000円で、人気を維持している。この成功体験をもとに、中古電車を改造してコストを下げ、低価格帯の長距離観光列車を企画した。低価格といっても、現在のボリュームゾーンの観光列車としては高めだ。

 ◆1日1本、組み合わせると九州一周「36ぷらす3」

 JR九州の「36ぷらす3」のコンセプトも「手軽に利用できる観光列車」だ。列車名の36は、九州島が世界で36番目に大きな島であること。「ぷらす3」はJR九州が提供する「驚き、感動、幸せ」と「お客さま、地域の皆さま、私たち(JR九州)」の意味を掛けたという。要するに「九州で三位一体」を体験していただきたい。36と3を足して39となり「サンキュー」になる。盛りすぎ感があるけれど、意気込みは分かる。

 JR九州はクルーズトレイン「ななつ星in九州」をいち早く成功させた。価格は1人あたり32万1000円~164万7000円である。価格もサービスも人々を驚かせ、今も人気を維持する。リピーターもいると聞く。「36ぷらす3」は、「ななつ星in九州」の「九州一周」のコンセプトを継承し、中古の特急電車を改造した低価格帯の観光列車となる。

ITmedia ビジネスオンライン

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