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観光列車は“ミッドレンジ価格帯”の時代に? 新登場「WEST EXPRESS 銀河」「36ぷらす3」の戦略 (3/5ページ)

 改造のもとになった787系電車は、鹿児島本線博多~西鹿児島(現・鹿児島中央)間の看板特急「つばめ」用として登場した。1992年から2002年にかけて製造されたから、古い車両は28年が経過している。そのうち6両1編成を丸ごと改造している。座席は1人用と2人用の3列タイプで、これはJR九州やJR四国などのグリーン車の基本的な配置。個室もあり、1号車に4人用4室、2号車に6人用3室、3号車に2人用6室がある。3号車にはビュッフェ(簡易食堂)があり、4号車はマルチカーとして、イベント開催も可能な共用ラウンジとなっている。

 運行日は木曜から月曜までの5日間で、曜日ごとに運行区間が異なり、途中駅で「おもてなしイベント」が設定されている。全て昼行列車で車中泊はない。乗りたい曜日だけ選んでもいいし、複数日を選択してもいい。その場合は乗り継ぐ駅の宿泊を別途手配することになる。この自由度の高さがユニークだ。JR九州は新しい観光列車の旅を提案した。

 木曜日は博多駅午前9時52分発で鹿児島本線を南下、旧鹿児島本線の肥薩おれんじ鉄道も通って、鹿児島中央駅に午後4時24分着。金曜日は鹿児島中央駅を午後0時16分に発車し、日豊本線経由で宮崎駅に午後3時57分着。土曜日は宮崎空港駅午前11時25分発、宮崎駅にも停車して、別府駅に午後4時46分着。日曜日は大分駅を午前11時30分に発車し、別府駅で停車した後、博多駅到着は午後4時32分。ここでいったん博多に戻る。

 残された佐賀県、長崎県は月曜日に往復する。博多駅午前10時51分発、佐賀駅に停車して、長崎駅に午後3時36分着。長崎駅午後5時30分発、佐賀駅に停車して、博多駅に午後9時3分着。片道1本ずつの販売だ。フルコースは木曜から月曜まで、博多~鹿児島中央~宮崎~大分~博多~長崎~博多の5日間。どこがスタートでも構わないから、例えば宮崎空港からスタートして宮崎に戻ってもいい。その場合は火曜日と水曜日の2日間にフリータイムを挟むプランになる。

 なお、木曜日コースは当面の間は運休だ。経由する肥薩おれんじ鉄道の一部区間が令和2年7月豪雨で被災し運休しているからだ。8月26日時点で「復旧見込みは3カ月後」と発表しているため、早くても11月に復旧、「36ぷらす3」は12月の運行開始となりそうだ。従って、しばらくは鹿児島中央~宮崎~大分~博多~長崎~博多の組み合わせから、1つまたは全部を選ぶ形になる。

 ◆観光列車の価格分布はローエンドに偏っている

 「WE銀河」は夜行、「36ぷらす3」は組み合わせ自由という新しいアイデアが魅力だ。その上で、「ミッドレンジ」価格帯であることも興味深い。どちらも観光列車群の中では「やや高め」の設定になっている。

 観光列車は走行距離も体験時間もそれぞれ異なる。「乗車だけ」「宿泊込みの企画商品」など形態がさまざまで、一概に比較しづらいけれども、まずは鉄道事業者または主催者が用意するプランを並べて「価格帯」に注目する。

ITmedia ビジネスオンライン

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