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観光列車は“ミッドレンジ価格帯”の時代に? 新登場「WEST EXPRESS 銀河」「36ぷらす3」の戦略 (5/5ページ)

 これらは普通車指定席を使った場合で、グリーン席やグリーン個室を使う場合は加算される。ファーストシートは3700円、個室は6800円の加算。特急やくものグリーン席は1000円の加算だ。最もぜいたくな組み合わせだと7万円近くになるとはいえ、おおむねミッドレンジ価格帯に収まる。

 19年11月の発表時点では、「WEST EXPRESS 銀河」は旅行商品としてだけではなく、JR西日本のインターネット予約サービスや全国の駅のみどりの窓口でも販売する予定だった。京都~出雲市間の片道利用の場合、最低金額は乗車券7150円+指定席特急料金3290円(閑散期)の1万440円で、ローエンド価格帯におさまる。普通車指定席にはかつてのB寝台風の「クシェット」がある。ブルートレインブームの頃は特急料金のほかにB寝台料金6800円が必要だったから、クシェットが普通車指定席料金だけで乗れるとは、かなりおトクな設定だ。

 最高金額は乗車券7150円+指定席特急料金2960円(グリーン席用)+グリーン個室料金7240円の1万7350円となり、ミッドレンジ価格帯になる。個室料金は日本旅行の差額料金と少しズレているけれども、これは日本旅行の料金に団体割引が適用されているからだ。列車だけを利用したい、宿泊地は自分で選びたい人にとっては駅の窓口販売が待たれる。転売の発生が気になるけれども、もし企画旅行より駅の窓口販売が好調なら、市場はローエンドタイプの夜行列車を選んだことになる。

 「36ぷらす3」は乗車距離とサービス内容でレンジが広く、乗車するだけであれば約5000円から、食事付き企画商品は1万2000円~3万円となる。各コースを連続して乗り続ければ、木曜コースから月曜コースまで、九州一周の総額は12万4000円になる。「36ぷらす3」は、ローエンドからハイエンドまで、全ての価格帯に対応した初の観光列車となった。

 ローエンド価格帯の観光列車群のほとんどが中古車を改造してコストを抑えた。その車両の老朽化が進めば、いずれ廃止か、新しい車両を入れて存続させるかの判断が必要になる。新型車両を入れるなら単価を上げていきたい。そうなると次の料金クラス、ミッドレンジ価格帯も視野に入る。「WEST EXPRESS 銀河」と「36ぷらす3」は「ミッドレンジ価格帯の観光列車」の試金石ともいえそうだ。

ITmedia ビジネスオンライン

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