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【長谷川幸洋 ニュースの核心】日本学術会議の任命拒否で「学問の自由」が脅かされるわけがない 税金支出する組織に民主的統治働かせるのは当然 (2/2ページ)

 およそ、税金を支出する組織に、政府が民主的統治(ガバナンス)を働かせるのは当然だ。学術会議といえども例外ではない。このケースでは、首相の任命権が統治の鍵になっている。批判する人々は、民主社会における統治の大原則を無視している。

 会議が新会員を推薦する仕組みにも問題がある。会員と会長が任命する連携会員の候補者を推薦できるのは、現在の会員と連携会員だけだ。それでは、同じ研究や主義主張に賛成する会員ばかりが再生産されかねない。

 菅首相が任命を拒否した理由は不明だが、そうした事態に陥るのを懸念した菅首相が「多様性を確保するために下した決断」という側面があったかもしれない。

 任命を拒否された学者の1人はテレビ番組に出演して「任命に手を出すと、政権が倒れる」などと語っていた。自分が選ばれるのは当然で、拒否した政権は潰れる、などと言うのは、うぬぼれを通り越して傲慢だ。勘違いもはなはだしい。これだけでも、学者の病の深さがうかがえる。

 今回の事態は菅政権が前例にとらわれずに、改革を断行する姿勢を明確にした。霞が関はもちろん、料金値下げ問題を抱える携帯電話会社などは政権の覚悟を思い知っただろう。それも、首相の計算の内だったのではないか。

 ■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務めた。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。ユーチューブで「長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル」配信中。

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