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【緊迫する世界】荒れる米大統領選で「カオス」到来? ロシア、中国など権威主義国家の台頭も (2/2ページ)

 トランプ氏が投開票当日、一方的に勝利宣言をするかもしれない。今回の選挙は、トランプ支持者の80%が直接投票で、ジョー・バイデン前副大統領支持者の60%が郵便投票とされる。郵便票は遅れて集計されるため、開票当初はトランプ氏がリードしそうだ。その時点で、トランプ氏が「郵便投票は不正が多く信用できない」として勝利宣言をする。

 バイデン氏が勝利しても、トランプ氏は「郵便投票に不正があった」と法廷闘争に持ち込むだろう。その判断は最終的に連邦最高裁が判断する。最高裁では、リベラル派判事、ルース・ギンズバーグ氏の後任に、保守派のエイミー・バレット氏が着任する。「保守派6」「リベラル派4」で、トランプ氏が勝つ。

 バイデン氏が選出された場合、自動小銃を持ったトランプ支持者たちが黙っていない。バイデン支持者と衝突する可能性もあり、米国内は大混乱になる。

 このように、今回の大統領選で、米国社会は深刻な「分断」の危機に直面する。まるで南北戦争前夜のようだ。これは、米国時代の終焉(しゅうえん)となり、ロシアや中国、イランといった権威主義国家の台頭を許すことになるだろう。地域紛争が世界各地で激化し、金融市場は荒れ、経済的混乱を招くだろう。

 特に、日本は保護者・米国を喪失し、大打撃を受けることが予想される。

 ■川上高司(かわかみ・たかし) 拓殖大学海外事情研究所所長。1955年、熊本県生まれ。大阪大学博士(国際公共政策)。フレッチャースクール外交政策研究所研究員、世界平和研究所研究員、防衛庁防衛研究所主任研究官、北陸大学法学部教授などを経て現職。著書・共著に『トランプ後の世界秩序』(東洋経済新報社)、『2020年生き残りの戦略-世界はこう動く!』(創成社)など。

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