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【富坂聰 真・人民日報】バイデン氏勝利後の「台湾海峡」危機 米中対立の最前線、蔡政権の「自制」と危機のレベル (2/2ページ)

 素直に考えれば「通常の任務だった」という米軍側の見解が正しいのだろう。これまでも「故障」を理由に米軍機が台湾に降りた過去もあれば、島内で訓練した動画が公開されたこともある。

 しかし、ドナルド・トランプ政権がしきりに中国のボトムラインに挑戦する動きを見せるなか「この情報はいかにもつたない」との判断が台湾に働いのだろう。

 香港を利用して中国の異質さを強調し、自らの政権浮揚に利用してきた台湾だが、それを本当の危機にまで高めようと考えていない。台湾海峡が火を噴けば、どんな結果に落ち着くにせよ蔡英文政権だけは雲散霧消する可能性が高いからだ。

 トランプ政権は18億ドル(約1860億円)に続き23億ドル(約2380億円)分の武器、今週は攻撃型無人機MQ-9Bの売却を進めているが、これとて将来的には米軍が自ら使うための兵器との解釈がやまないのである。

 争いや対立に付け込まれるのは国際社会の常。そして今懸念されているのは、超大国の中で2人の大男が争う、そのトバッチリが台湾海峡に及ぶことだ。バイデン氏が選挙に勝利した後、トランプ氏の重たい置き土産として台湾の危機がそれに選ばれるのではないかという心配である。

 ■富坂聰(とみさか・さとし) 拓殖大学海外事情研究所教授。1964年生まれ。北京大学中文系に留学したのち、週刊誌記者などを経てジャーナリストとして活動。中国の政・官・財界に豊富な人脈を持つ。『中国人民解放軍の内幕』(文春新書)など著書多数。近著に『中国は腹の底で日本をどう思っているのか』(PHP新書)。

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