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【勝負師たちの系譜】称号の重みと戦う挑戦者 「名人」と呼ばれ「ハイ」と答える者が勝つ (1/2ページ)

 名人という称号は、他のタイトル名が棋戦創設の際につけられたのと違って、400年以上前、初代大橋宗桂が家元として名人を名乗った時からの称号である。これを棋戦名とし、現在は毎日と朝日の両新聞社が共催しているものだ。

 従って竜王戦が創設されるまでは、名人戦の一強時代が長く続いた。

 名人戦の予選が、A級~C級2組までの5クラスに分かれた順位戦で、これにより名人だけはA級に登り、そこで優勝して初めて挑戦権を得るため、棋士になって最短でも5年かかる制度になっている。

 棋士の昇段も私の時代は、順位戦のクラスを上がる以外の道はなかったから、ともかく最優先で昇級したいと思う棋士がほとんどだった。今は勝ち星や竜王戦での昇段など、全棋戦が昇段の対象となっている。

 そんな訳で、当時プロ棋士を目指す少年たちは皆「名人になりたい」と言って奨励会に入ってきたものである。

 今回の挑戦者、斎藤慎太郎八段は、2012年度から順位戦(C2)に参加し、8年でA級まで昇った。そしてA級1年目にして、8勝1敗のぶっちぎりで名人挑戦を決めたのだった。

 しかし渡辺明名人との七番勝負は斎藤にとって、思うような将棋が指せなかったのではないかと私には思えた。

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