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「何もなさ」の逆ばりでヒット「日本一の秘境駅」JR室蘭線小幌駅 廃止寸前も町が管理し存続 (1/2ページ)

 北海道の山あいに「日本一の秘境駅」と呼ばれ、人気の駅がある。JR室蘭線小幌(こぼろ)駅(豊浦町)で、周囲に人家も車道もなく、元はすれ違う際に汽車が退避する場所だった。近くの海岸を使う漁師などのために駅になったが、利用客が減りJR北海道は町に廃止を打診。ただ、その「何もなさ」に、逆に観光資源の可能性を感じた町が管理を申し出、存続させている。

 山中の2つのトンネルに挟まれた、長さ80メートルほどの草地に駅はある。8月上旬の雨上がりの午後、町職員2人は駅に降りると、慌ただしく点検を始めた。駅に止まる列車は1日6本。戻りの列車は35分後だが、乗り逃すと約4時間待ちぼうけになるため、手分けして、ホーム床板の損傷具合など、リストにある20項目をチェックしていった。

 大事なのは人気の「秘境感」を守ることで、にぎわいすぎると「駅が秘境でなくなる」というジレンマがある。町産業観光課の朽葉昌生(くちば・まさお)主事(39)は、「整備の手を入れすぎないよう、来訪者の安全を守りたい」と話す。町職員と一緒に降りた5人の乗客は、せみ時雨の中、思い思いに記念撮影などを楽しんだ。

 JR北海道などによると、国鉄時代の1943年に信号場として造られた。その後、駅になったが、利用客は低迷し、2015年にJRが廃止を打診。ただ、秘境駅としての知名度を見込んで町は存続を希望した。経費負担と管理を条件に維持する協定を毎年更新している。

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