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【大前研一 大前研一のニュース時評】深刻な都心オフィス空室率、10%を超えると賃料“暴落” 物件タダでも売れなくなる (2/2ページ)

 オフィスビル仲介大手の三鬼商事は、都心5区(千代田、港、中央、新宿、渋谷)の1フロアの面積が100坪以上のオフィスビルを対象に、毎月、空室率を調査しているが、7月の平均空室率は6・28%で17カ月連続上昇、供給過剰の目安となる5%も6カ月連続で超えている。

 かつて2008年のリーマン・ショックの余波で、11~12年に空室率が10%に近づいたことがあった。10%の手前で戻り、アベノミクスの恩恵を受けた企業の業績の伸びを背景に、空室率は下がり続け、昨年2月には1・49%という低水準になっていた。

 コロナ禍前には働き方改革の推進でレンタルオフィス、シェアオフィスなどが増加し、都心部のオフィスはすぐに埋まる状況だった。それが今回、10%に向けて急激に上昇している。

 シンクタンクの日本総研が昨年5月、都内の従業者の1割がテレワークを実施すると、都心部のオフィス空室率は15%に跳ね上がるという試算を発表した。実は5%を超えると賃料が下落するが、10%を超えるともうほとんど暴落して超危機的な状態になり、経済もどんなにテコ入れをしてもガシャンとなってしまう。

 バブル崩壊後の1990年代には10%に達して、新築ビルの価格がマイナスになったこともある。今後、空室率が15%、20%と上昇すると、80年代にロンドン、ニューヨーク、ヒューストン、メルボルンなどで起きた「物件がタダでも売れなくなる」という修羅場が起きかねない。

 今後、企業の働き方が劇的に変わる。都心の空室率は、経済全体に激甚な影響を及ぼすので、注意して見続けていきたいと思う。

 ■ビジネス・ブレークスルー(BBTch)の番組「大前研一ライブ」から抜粋。

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