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北朝鮮の金正恩体制が「崩壊の時」に近づいている (5/5ページ)

 そこで真っ先に切り捨てられるのは、組織生活というムダだ。当初、少数のサボタージュは当局に抑え込まれるだろうが、広範な現象になれば統制はきかなくなる。そして現象がエスカレートすれば、サボタージュはいずれ、国家維持に最低限必要な行政や生産活動にまで及ぶ--。

 (参考記事:家を捨て、山の中で隠れ住む北朝鮮国民が増加

 このような事態を未然に防ぐためには、金正恩氏はコロナ対策を現実的な水準に改め、国民の生活を安定させなければならない。また、「組織生活から人々を解放すべき」と助言してもムダだろうが、国民が生計を維持できるぐらいに頻度は調節すべきだ。

 貿易停止、今後3年

 ところが金正恩氏は、これとはまったく逆に、防疫措置の強化を訴えている。韓国当局筋によれば、「北朝鮮は今後3年、現在の貿易体制を維持するとの情報がある」という。そして金正恩氏は、国内に鬱積する不満を、思想統制の強化で乗り切ろうとしている。

 金正恩氏は、最高指導者となってからの約9年間、権力維持に長けた侮りがたい独裁者の顔を見せてきた。しかしその能力は、締め付けたり圧迫したりするのを得意とする一方、緩める局面--米朝対話や南北対話では成果を得られていない。

 そして今、新型コロナという未曽有の事態に直面し、その力は自らの首を締め上げる方向に作用している。

 かくして金正恩体制は、自らの足で、「崩壊」のその時に向かって歩みを進めているのだ。(ジャーナリスト 李策)

デイリーNKジャパン

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