★妄想シャブ中妻の夫殺人 茨城・大洗(2)
2001年4月に茨城県大洗港近くの海上で、トラック運転手の石川寛之さん(53)の遺体が発見された事件は、その後の警察の捜査によって、妻の昭代(45)とその愛人である暴力団員の金沢貴志(55)による犯行であることが判明した。こうした状況では、不倫関係がもつれた結果の殺人事件かと思われがちだが、実際にはそうではなかった。
そもそも、昭代と金沢は男女の関係にあったことは事実だが、それによって寛之さんとトラブルになるようなことはなかった。寛之さんは、昭代が不倫している事実を知りながら、じっと我慢していたのである。
寛之さんは20代のころに短期間だけテキヤ稼業をしていたことがあった。しかし、もともと温厚な性格だった寛之さんに浮草稼業は向かなかった。1985年には完全に足を洗い、以降は運送会社で真面目に働き続けていた。背中の刺青は、そのテキヤ時代に入れたものだった。
一方、妻の昭代はかなりだらしない性格だったようだ。家事を嫌い家庭のことは放りっぱなし。そのくせ派手好きで金遣いが荒く、買い物やギャンブルにうつつを抜かしていた。勝手にカードで借金を重ねることも度々で、取り立てを逃れるために引っ越すこともあったらしい。
そんな昭代を、寛之さんは辛抱強く見守っていた。寛之さんが彼女に心底惚れ込んでいたということ。それになにより、「この女はオレが見ていないとダメだ」という献身的な気持ちがあった。
しかし、そんな寛之さんの気持ちを踏みにじるかのように、昭代は遊び呆ける毎日だった。そして、入り浸っていたパチンコ店で金沢と知り合い、ほどなく不倫関係になってしまう。その挙げ句、覚醒剤にまで手を出すようになってしまったのである。そして、この覚せい剤が、悲劇のきっかけとなった。
昭代は金沢と関係を持つようになってから、奇行が目立つようになっていった。「誰かが自分の悪口を言っている」などと叫んで取り乱したり、「あの女に呼び捨てにされた」などと言っては、同じマンションに住む無関係の女性を追いかけたりしているのを住民に目撃されている。
そして、それらの妄想はすべて寛之さんに向けられていった。昭代は自分のことを棚に上げて、寛之さんが不倫していると思い込んでしまっていたのである。