【悼 Memory】岡田靖さん リアル&ネットで24時間エコノミスト「ドラエモン」

2010.04.26


4月10日に死去した岡田靖・内閣府経済社会総合研究所主任研究官【拡大】

 「ドラエモンさん、お疲れさま」「銅鑼さん残念です」。4月10日に虚血性心不全で死去したエコノミスト、岡田靖さん(享年54)の葬儀には、こんな一風変わった弔電が次々と寄せられた。

 岡田さんは大和総研、大和証券からクレディスイスファーストボストン証券(当時)、学習院大特別客員教授を経て内閣府経済社会総合研究所主任研究官となり、主にデフレやバブル研究に携わった。嘉悦大教授の高橋洋一さんは「実務家でもあり学者でもあるという日本にほとんどいない存在だった」と評する。

 1月にクモ膜下出血で倒れたが奇跡的に回復して2月に退院、3月には職場復帰した矢先だった。当日は普段通り夕食をとり、自室で椅子に座った状態で息を引き取ったという。通夜の席で妻の美希さんは「『俺は何でこんなところにいるんだろう』と本人が一番驚いているのではないでしょうか」と語った。

 金融緩和によってデフレを脱却する「リフレ政策」を早くから主張。インターネットの経済系掲示板でも積極的に論陣を張った。そのハンドルネームが「ドラエモン(銅鑼衣紋)」。毒舌とユーモアを交え、「トンデモ経済学も鋭く批判した」(上武大教授の田中秀臣さん)。いつしか、掲示板の“主”のような存在となっていた。

 亡くなる直前まで机を並べていた同主任研究官の矢野浩一さんは「私もネット上の論争で岡田さんに敗れて人生が変わった1人です」という。

 駒沢大准教授の飯田泰之さんによると「完璧主義者で、納得した原稿しか表に出さなかった」という岡田さんだが、マクロ経済学入門書の草稿の一部を矢野さんと飯田さんに手渡しており、2人は世に出したいと意気込んでいる。ネット上の発言についても、有志による発掘が進んでいる。

 岡田さんの師で学習院大教授の岩田規久男さんはこんな追悼コメントを寄せた。

 「1979年10月、太くよくとおる大きな声で、豊富な経済学知識を背景に意見をいう人に出会った。修士課程の学生とは思えず、どこかよその大学の先生か博士課程の院生かと思った。彼は経済学だけでなく、政治学、社会学、歴史などにも詳しく、まさに博覧強記で、私は多くのことを彼から学んだ。その岡田さんも大学の就職には恵まれず、ようやくこの9月からある大学に就職する予定だった。その矢先の急逝で、無念この上ない」(中田達也)

 

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