わずか半年間で不治の病と呼ばれる糖尿病から脱出した筆者。この「奇跡」を可能にしたのが、京都・高雄病院理事長で、医師の江部康二氏が提唱する「糖質制限食」、すなわち朝、昼、晩と主食であるご飯、パン、麺類や砂糖など炭水化物を含む「糖質」を摂らない食事法だ。別名“ズボラ・ダイエット”と呼ばれる程、誰にでも簡単に出来る。
用意したのは、江部氏の著書「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(東洋経済新報社)と、そのレシピを写真入りで紹介した「満腹ダイエット」と「酒飲みダイエット」(いずれもプレジデント社)だけ。「糖質制限食」を朝、昼、晩の3食続ける「スーパー糖質制限」。これをまず1週間行うことで、確実に痩せ、血糖値を始めとする糖尿病の数値が改善していく。
この「糖質制限食」を始めるには、江部氏の本やプレジデントのダイエット本の巻末にある「主な食品の糖質量」(百グラムあたり)を記憶し、一日約60グラム、一回の食事で10〜20グラムまでに押えることが大切だ。ご飯は茶碗一杯で36・8グラム、食パンは1枚で44・4グラムもある。
これらを食べない代わりに、牛肉は0・2〜0・6グラム、豚肉も0〜0・2グラム、ロースハムも1・3グラムと少ないので多いに食べる。面倒なカロリー計算も必要なし。要は、糖質の多い食品と少ない食品をある程度記憶し、糖質の少ない食品中心のメニューで過ごすのだ。
糖質制限食では、ウイスキーや芋焼酎などの蒸留酒もOK。赤ワインも少量なら許される。日本酒、ビールはNGだが、最近では糖質ゼロの日本酒やビール、コーラ類もあり、それを選ぶと良い。
肉、魚、豆腐、ハム、ソーセージもOK。野菜類ではブロッコリー(0・8グラム)やほうれん草(0・3グラム)はOKだが、かぼちゃ(17・1グラム)やじゃがいも(16・3グラム)は糖質が多いから避ける。その他、自宅で使う砂糖をラカントSや人工甘味料のパルスイートなどに変えていく。これを1日3食続けるだけで驚く程の結果が出る。
難しいのは外出時の昼食だ。定食のご飯類を残し、冷奴などで代用する。あるいは、どうしてもご飯を食べたくなったら、三分の一か半分に止め、食前に血糖値を下げる薬を飲むか、食後30分以内に運動をする。こうした習慣をつけるだけでよいのだ。
ただし、この糖質制限、劇的な効果が出るため、患者によっては注意が必要となる。
「糖尿病で経口血糖降下剤などを内服していたり、インスリン注射をしている場合は、低血糖の心配があるので、必ず主治医と相談して下さい。また腎障害や活動性のすい炎、肝硬変の場合は、糖質制限食は控えた方がいいでしょう」と江部氏。
不治の病と言われる糖尿病もこの「糖質制限食」を続ける限り、必ず改善していく。メタボ腹とはもうおさらばである。
きりやま・ひでき ノンフィクション作家。1954年、名古屋市生まれ。定年後の海外移住を描いた「第二の人生いい処見つけた」(新潮社)でデビュー。ホテル、レストラン、国内外の旅など宿、食、文化に精通するも、50代にしてメタボ作家に。今回の糖尿病体験で男の生活習慣病を徹底研究。金融リテラシーならぬ、いつまでも元気で働ける定年後の健康リテラシーの重要性に目覚め、医療分野にも独自の視点で切り込む。
【糖質制限を長く続けるための10カ条】
(1)1日3食を少量でもキチンと食べる。夜のドカ食いは避ける。
(2)糖質制限に効果があるのは夜の食事。朝、昼はゆるめても、夜だけはカット。
(3)ただし、糖尿病患者は3食糖質制限するスーパー制限食がおすすめ。
(4)主食を採る場合はまず、おかずを全部食べ、ご飯を半分か3分の1程度に止める。食後、散歩など運動する。
(5)家族の協力が必要。江部氏の本などを読み、共通認識を持て。
(6)糖尿病でない家族にも、糖質制限食はダイエット効果あり。家族で楽しめる。
(7)1日3食制限のスーパー糖質制限は1週間程継続してこそ効果。体重が目標まで下がったら、一度、昼食などでゆるめた後、また再開。
(8)空腹時はナッツやあたりめ等の糖質の少ないツマミでしのぐ。ビールは糖質フリーのものを。
(9)フスマパン、大豆パンなど、糖質制限食の宅配も積極的に利用する。
(10)自宅で血糖値測定器を用意し、空腹時、食後で時間値を測定。血圧、体重も毎日計って記録する。
■桐山秀樹(きりやま・ひでき) ノンフィクション作家。1954年、名古屋市生まれ。定年後の海外移住を描いた「第二の人生いい処見つけた」(新潮社)でデビュー。ホテル、レストラン、国内外の旅など宿、食、文化に精通するも、50代にしてメタボ作家に。今回の糖尿病体験で男の生活習慣病を徹底研究。金融リテラシーならぬ、いつまでも元気で働ける定年後の健康リテラシーの重要性に目覚め、医療分野にも独自の視点で切り込む。