貨物が見せた「鉄道マンの底力」 被災地へ燃料を…救援列車運行

★鉄路復旧(2)

2011.04.20


26時間かけて盛岡貨物ターミナル駅に到着した石油専用列車=3月19日午後【拡大】

 機関車8両、貨車108両、コンテナ約1500個…。震災によってJR貨物は多くの資産を失った。宮城・石巻など荷物を集積する臨海部の駅は津波の直撃で使用不能に。損失は甚大だ。

 大地震直後。対応に追われるなか、小林正明社長のもとに国土交通省や経済産業省の幹部などから、ひっきりなしに催促の連絡がかかった。

 「東北への石油輸送を早く始めてくれ」

 大地震発生から数日後、被災地を中心に深刻な燃料不足が襲った。警察、消防まで活動を制限される非常事態。タンカーより速く、タンクローリーより大量に運べる貨物列車が注目され、小林社長は救援列車の運行を決断した。

 ただ、問題があった。

 「貨車、機関車、乗務員の手配がピタリと合わなければ列車は運行できない。石油専用列車は通常の運行距離は20〜200キロ程度。1000キロ以上も大量の石油製品を毎日運び続けた経験は、鉄道130年の歴史になかった。運行実現にこぎつけるまで、司令室の社員を中心に連日の徹夜で作業にあたった」

 3月18日、横浜市の根岸駅から岩手県の盛岡貨物ターミナル駅に向け、タンク貨車18両の石油列車が発車した。最短ルートの東北本線は地震で多くの区間が不通となっていたため、日本海沿岸を北上。青森から盛岡へと回り込むルートで19日、第1便が盛岡に到着した。21日から1日2本に増強され、北東北への輸送は一段落した。

 次は南東北だ。ところが備蓄タンクのある福島・郡山へはすべての路線が断たれていた。そこでJR東日本は磐越西線の復旧に全力をあげてルートを確保。磐越西線は一部区間の傾斜がきついため、普段は貨物列車が通らない。そこで、根岸駅を20両のタンク貨車で出発した列車を、新潟で10両ずつに分割。ディーゼル機関車を2両連ねて引っ張る離れ業で、郡山に石油製品を運んだ。

 今月17日、郡山まで東北本線が開通したため、磐越西線経由の列車は16日で終了した。17日から郡山行きは宇都宮経由で毎日4本に増強。21日には東北本線が全線復旧する予定で、日本海沿岸回りも東北本線経由に切り替えられる見通しだ。

 小林社長は「ガソリンや軽油の供給が安定するまで運行を続ける」とし、こう語った。

 「第1便が到着したときには地元でバンザイの声が上がったそうだ。われわれも“レスキュー隊”としての面目が果たせた。鉄道は頑張ればこんなことができるという、鉄道マンの魂、底力を示せたのではないか」 (久保木善浩) ★鉄道特集

 

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