大地震予測“切り札”は犬とネコ!その異常行動を見抜け

2012.03.24


今月、鳥取市の海岸に漂着したクジラ(鳥取県提供)。相次ぐ海洋生物の異常行動は何を意味するのか【拡大】

 東日本大震災以降、大地震発生の危機感が高まっている。事前に揺れを察知するのが究極の安全対策だが、地震予知はまだまだ未知の分野。われわれの頼みの綱は、揺れの直前に鳴り響く緊急地震速報だけなのが現状だ。そんななか、動物の危険察知能力に目を付けた研究者がいる。大地震のたびに動物たちが起こす異常行動を研究し、「地震予知に役立てられないか」というのだ。「野生の勘」は切り札となるのか。

 地震の前の動物の前兆行動について研究するのは、麻布大学獣医学部の太田光明教授(介在動物学)。太田氏は、1995年の阪神淡路大震災で数多くの動物の前兆行動が報告されていたことに着目。動物の行動と地震との関連性について調べてきた。

 最近も、日本海で数百万匹の深海魚やクジラが打ち上げられる怪現象が相次いでいる。東日本大震災前にも、茨城沿岸に大量のイルカが打ち上げられた。

 そもそも動物は地震の前兆をどうやって察知するのか。

 「地震発生の前に地盤に圧力が加わりひずみが生じる。そこで異常発生した電磁波を感じ取っている可能性が高い。帯電したエアロゾルを感じている説もあります。そこで、動物に電磁波による刺激を与え、その反応を見る実験を行っています」(太田氏)

 太田氏はこれまでに500頭あまりの犬、イルカや猫、カエルなどさまざまな動物でこの実験を実施。その異常行動は別表の通りで、「犬は30頭に1頭の割合で電磁波への明確な反応がみられました。イルカの場合はより反応が顕著です。地震発生前にクジラなどが岸に上がったりするのも電磁波の影響で、方向感覚を失ったためである可能性が高い。これまでの実験結果や事例などからも、電磁波の与える影響は否定しきれません」(同)。

 動物の前兆行動について、唱えたのは太田氏が初めててではない。

 弘海原(わだつみ)清・大阪市立大名誉教授(地質学)や、池谷元伺・大阪大名誉教授(電子工学)=いずれも故人=もそれぞれの立場から、電磁波による動物の前兆行動を研究。

 弘海原氏が理事長を務め、地震の前兆についての情報を収集する特定非営利活動法人「e−PISCO」には、阪神大震災の直後から1711件の証言が寄せられ、その多くが動物に関するものだった。

 「直下型地震だった阪神淡路大震災では1メートル当たり70ボルトもの強烈な電磁波が発生しました。そのため、ストレス反応によって多くの動物に前兆行動がみられた。犬では、遠吠えしたり激しく鳴いたり。前掻きして盛んに穴を掘る仕草をする例もあったようです。猫はいつもいる場所からいなくなる傾向が強かったといいます」(太田氏)

 公益社団法人「日本愛玩動物協会」が阪神大震災後に行った調査では、犬で25%以上、猫は39%以上が震災前に異常行動をとったことが判明。ほかに、「冬眠中のヘビやミミズが地表にはい出してくる」「カラスが群れて鳴き騒いだ」の報告があったという。

 では、東日本大震災ではどうだったのか。

 「不可解なことに阪神ほどの報告数はありませんでした。東北地方では当時、規模の大きな地震が頻発していましたから、動物が揺れに慣れてしまったのではないでしょうか。それに、飼育方法が都市部と違うという面も関係している可能性がある」(太田氏)。環境や条件面に左右されるようだ。

 とはいえ、地震に備えるための“武器”になる可能性は秘めている。

 「実際に中国では1960年代から、国家的プロジェクトとして研究が進んでいます。日本ではいま、約2500万匹の飼い犬、飼い猫がいるといわれているので、これだけいれば相当な情報が集まるはず」(同)

 なかでも、太田氏が注目するのは犬だ。目に見える形で電磁波へのストレス反応をみせるため、いざという時の活躍に期待が集まる。

 「実験動物は自然の本能が失われているためか、電磁波への反応が鈍い。反対に野生に近い状態で飼育されている犬は、圧倒的に反応しやすいことがわかりました。犬種でいえば、バセンジやシベリアンハスキー、柴犬などです。いずれもオオカミに近い古い犬種。6才以上の高齢犬で、より顕著な反応が見られました」(太田氏)

 愛らしい眼差しを向けてくるペットが、あなたのピンチを救うかも知れない。

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