地の果ての大建造物!ラムセス2世の偉大さ実感

★ヌビア遺跡群(エジプト)

2012.04.13


大神殿のラー・ハルアクティ神レリーフ【拡大】

 世界遺産とは地球の成り立ちと人類の歴史によって生み出された全人類が共有すべき宝物ですが、この世界遺産の概念はアブ・シンベル神殿に代表されるエジプトのヌビア遺跡群を救ったことから生まれました。そこで第1回の世界遺産旅行講座はこのヌビア遺跡群の話から始めたいと思います。

 この遺跡へは飛行機を利用していくのが簡単ですが、アスワンから砂漠の中を走る警察護衛のバス(コンボイ)を利用する方法もあります。バスで砂漠の中を約3時間走ると、ナイル川(ナセル湖)からの水路も一部見ることができて「エジプトはナイルの賜物」というヘロドトスの言葉の意味やヌビア地方の様子が理解できます。

 ヌビア地方は季節によってハムシーンという砂嵐が起きたり、砂漠特有の厳しい猛暑にさらされる場所で、このような地の果てをバスで走れば、この地に大建造物を作らせた新王国のファラオ、ラムセス2世の権力の偉大さを改めて実感することができるでしょう。

 このヌビア遺跡群の代表であるアブ・シンベル神殿は大神殿と小神殿からなります。大神殿は太陽神ラーを祭神としており、一番奥の至聖所には右からラー・ハルアクティ神、神格化されたラムセス2世、アモン・ラー神、プタハ神の坐像が並んでいます。そしてラムセス2世の誕生日(2月22日)と王に即位した日(10月22日)の2回、この至聖所にある4体の像のうち、冥界神のプタハ神を除く3体を日の光が照らすように設計されていました(現在は移設されたため、日がずれています)。

 小神殿は最愛の王妃ネフェルタリのために建造され、ハトホル女神を祭神としています。ネフェルタリとは「美しさがいっぱい」という意味で、その名の通りネフェルティティ、クレオパトラと共に三大美女の一人ですが、エジプト生まれの真の美人といえばこのネフェルタリです。

 このネフェルタリは女性でありながら有名なヒッタイトとの「カディシュの戦い」の際にも、夫についていったといわれています。

 エジプトには「美人が人によっては記念碑である」ということわざがあります。ラムセス2世は多くのモニュメントを建造しましたが、ここアブ・シンベル神殿に来ると最愛の女性ネフェルタリこそが彼にとって真の記念碑ではなかったかと思われます。

 ■黒田尚嗣(くろだ・なおつぐ) 慶應義塾大学経済学部卒。現在、クラブツーリズム(株)テーマ旅行部顧問として旅の文化カレッジ「世界遺産講座」を担当し、旅について熱く語る。

 

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