430年の歴史あるお香の老舗「香十」

2013.05.02


香十銀座本店【拡大】

 「御香所 天正年間御所御用 香十」と白地に墨書された暖簾が掲げられている。

 織田信長の時代「香十」を名乗った初代は、源氏の名将・安田義定の子孫といわれる又右衛門源光弘と伝えられている。およそ430年前のことである。香も扱う御道具師として創業、豊臣家、徳川将軍家の御用をも務め、その鑑札はいまも残されている。

 屋号の「香十」とは、一休宗純(一休さんのモデルにもなった高僧)によって、香のもつ徳の10の効用を漢字40文字で書かれた「香十徳」からとったといわれている。

 「お香」は、聖徳太子の時代に大陸から伝わった「沈香(じんこう)」「伽羅(きゃら)」「白檀(びゃくだん)」という香木や、数十種類の漢方生薬の原料からできている。

 仏教伝来と相まって、「もともとお香は、仏様への祈りに使うものでした。お焼香の儀式は1400〜1500年間続く日本の文化」と語るのは、香十の稲坂良弘社長。「実は、平安時代の貴族社会には、香の文化がすでに花開いていたのです。『源氏物語』には、衣や手紙に焚きしめる香り、部屋に燻(くゆ)らす“空薫物(そらだきもの)”の香りなど、物語のモチーフとして描かれています」。

 これが、茶道や華道と同じように、武家社会になって香道となる。

 「“香り”という目に見えないものを感じ取り、そこに美の世界、心の世界をつくりあげる。これこそが日本独自の芸道であり、世界に誇れる伝統文化なのです」(稲坂さん)

 香道では「香を嗅ぐ」のではなく、香りが心に語りかけてくるのを聞くとして、それを「聞香(もんこう)」という。

 聞香には、5つの香木で焚かれた香りを聞き当てるという江戸時代中頃にできた『源氏物語』54帖をテーマにした「源氏香」という優雅な遊びがある。これを、八代将軍足利義政により建てられた京都銀閣寺の香間の間取りを模した「香十庵」で再現する。1000年の時を超えて、幽玄で雅な香の世界を銀座で楽しめる。

 名刺に香りを移す「名私香」315円、「枕香」1680円、正絹白檀染香袋入り塗香(ずこう)10グラム「掌香(たなごころこう)」1万4700円など、香り漂う店内もまた癒やしの世界である。 (谷口和巳)

 ◆「香十銀座本店」 東京都中央区銀座5の8の20銀座コア4階 (電)03・3574・6135

 ■谷口和巳(たにぐち・かずみ)団塊世代の編集者。4つの出版社を転籍、19の雑誌に携わり、編集長として4誌を創刊。団塊世代向け月刊誌『ゴーギャン』元編集長。『女優森光子 大正・昭和・平成−八十八年激動の軌跡−』『帝国ホテルの流儀』(共に集英社)などの書籍も手掛ける。

 

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