寛政4年創業の刃物専門店「日本橋木屋」

2013.05.16


「コスミック團十郎」【拡大】

 創業は1792(寛政4)年。江戸の三大改革の一つ寛政の改革のさなかであり、第11代将軍・徳川家斉の時代である。

 木屋には本家があって、その祖・初代林九兵衛は藤原姓を名乗る家柄で、大阪で豊臣家の薬種商としての御用商人であった。江戸時代になり、家康の要請を受けて当主の弟が江戸へ下り、姓の林を二つに分けて木屋と称したのだそうだ。

 当時は、小間物、塗り物、蝋燭(ろうそく)など生活用品を扱ういわば総合商社的な存在だった。そして、寛政4年4月に本家から暖簾分けされたのが初代加藤伊助で、現在9代目加藤欣也当主が唯一残る木屋の暖簾を継ぐ。

 「一、代々商売を忘れぬこと 一、商品に誠実を打ちこむこと 一、常に新しい研究を怠らぬこと」と大書された額が飾られていた。

 「きちっとした商品知識をもって、なおかつ、常に新しいものに目を向けていくという日頃の心の備えが大切です」と木屋一筋に四十数年の企画総務部長石田克由さん。

 「当社では、入社時に全員が包丁を研ぐ研修があります。まずは手で覚えること。これはどちらかというと、男のほうが覚えが早いですね」と笑顔を交えるが、感触や重量感など刃物を扱う以上どうしても身につけておかなくてはならないことなのだ。

 木屋の包丁は、大阪の堺、岐阜の関、新潟の燕三条などの鍛冶職人の手により一本一本でき上がる。

 目にとまったのが「團十郎」銘のシリーズ。明治初期、4代目当主が9代目市川團十郎の後援者だったことから、今でいうパテント契約を結んだのだそうだ。屋号成田屋の三升の紋に「團十郎」と刻印されて風格がある。

 中でも現代的な包丁が、超硬金属を特殊加工して木屋独自に開発した複合新鋼材「コスミック鋼」を商品化した「コスミック團十郎」牛刀3万3600円、鎌型3万1500円、ペティナイフ1万8900円。ステンレスの錆びにくさと、はがね(鋼鉄)の切れ味の両方の特性を兼ね備えた包丁である。

 「刃とはトラブルのかたまりだ」とは、8代目加藤俊男現会長が常々口にする言葉だ。221年間の伝統を築いた歴代当主の過酷な精神を垣間見る思いである。  (谷口和巳)

 ◆日本橋木屋 東京都中央区日本橋室町2の2の1(電)03・3241・0110

 ■谷口和巳(たにぐち・かずみ)団塊世代の編集者。4つの出版社を転籍、19の雑誌に携わり、編集長として4誌を創刊。団塊世代向け月刊誌『ゴーギャン』元編集長。『女優森光子 大正・昭和・平成−八十八年激動の軌跡−』『帝国ホテルの流儀』(共に集英社)などの書籍も手掛ける。

 

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