足が喜ぶ靴を作る カルツェリア・ホソノ

2013.05.23


カルツェリア・ホソノ本店【拡大】

 「歩くのが好きな人は疲れにくい靴を知っている。足が生きかえるような履き心地との出合いは、その人をどんどん行動的にさせてくれる。履きにくい靴は歩くのが嫌になり、その人の人生まで変えてしまう」

 創業者・細野勝さん(80)の言葉である。「靴は人生そのもの」と、カルツェリア・ホソノの靴作りの哲学でもある。

 靴職人の街でもある浅草に育った細野さんが慶応大学の卒論に選んだテーマは「履物変遷史」。卒業後、靴研究のために渡欧、翌年製靴会社に就職したのち、フリーの靴デザイナーになる。

 靴職人と2人でオーダーショップ「カルツェリア細野」を開業したのは、1969(昭和44)年のことだ。

 70年代に流行したロック音楽のジャケットにヒントを得て作った厚底のロンドンブーツが大ヒット。一躍、時の人となったが、「いくらデザインが優れていても、素材が良くても、足が喜ぶ靴を作らなければ意味がない」と、外反母趾に苦しむ女性の悲痛な叫びを足元にみて、靴屋の本当の仕事とは何なのかを痛感したという。

 人間の足の形は、生来、親指と踵(かかと)への内側のラインがほぼ直線なのが普通で、子供の足を見ればよくわかる。

 それが、トゥポイントが足の先端中心に向ってカットしたファッション重視の靴が多い。足長サイズも甲の幅と厚さも人それぞれ。25センチがちょっとゆるいと24・5センチを試すのが普通の靴店である。足に合った靴に出合えるわけがない。

 ホソノでは、測定器で足長とトゥトップから指先1本1本の長さまで計測、足囲(甲の幅)をも測り、最適な靴を選ぶ。既製靴で紳士(3万円〜)は1サイズに3種類の幅を用意、婦人(2万2000円〜)では7種類をそろえ、さらにオリジナルのシューズ・アジャスターでとことん微調整する。この微調整は、有料(1000円〜)だが他社製品でも応じる。これがホソノ・マインド。

 店舗に併設された工房で、裁断、底付け、縫製(ミシン)それぞれ熟練の職人が1足1足を手掛けていた。

 オーダーメードは、木型代が紳士16万円、婦人13万円。これに靴代が紳士7万5000円〜、婦人6万5000円〜と高価だが、1足の靴から人生が変わることだろう。 (谷口和巳)

 ◆カルツェリア・ホソノ青山本店 東京都港区南青山5の1の2 エリービル2階(電)03・3409・9425

 ■谷口和巳(たにぐち・かずみ) 団塊世代の編集者。4つの出版社を転籍、19の雑誌に携わり、編集長として4誌を創刊。団塊世代向け月刊誌『ゴーギャン』元編集長。『女優森光子 大正・昭和・平成−八十八年激動の軌跡−』『帝国ホテルの流儀』(共に集英社)などの書籍も手掛ける。

 

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