歴史ロマン香る鹿革アイテム 「印傳屋上原勇七」

2013.05.30


男性用「隼人」【拡大】

 創業は1582(天正10)年というから織田信長の時代。四方を山に囲まれた甲州(山梨県)は古くから鹿革や漆の産地であった。

 「印伝」とは、ポルトガル語のindianが語源とか、印度伝来を省略したとかといわれている。遠祖・上原勇七が鹿革に漆付けする独自の技法を創案、巾着や財布、たばこ入れなどの実用品として、甲州印伝が広まったのは江戸時代になってからである。

 弥次喜多珍道中で知られる十返舎一九の『東海道中膝栗毛』には「膝に下げたる、印伝の巾着を出だし、見せる」と、“粋”を競い合った江戸庶民の姿が描かれている。

 鹿革は、身体になじみ、軽くて丈夫なことから、鎧や兜など武具としても用いられた。

 この鹿革を素材に、奈良時代から行われていた藁(わら)と松根を焚いてその煙でいぶす「燻(くす)べ」技法、1色ごとに型紙を替えて色を重ねる「更紗(さらさ)」技法、そして甲州印伝独特の「漆付け」技法の職人技によって1品1品が仕上げられる。

 札入れ、カードケース、名刺入れなど小物類からバッグ、ポーチ、ベルトまで多様な品ぞろえは、すべて伝統工芸の域である。特に、漆を手持ち品に用いた着想は特筆もの。漆のもつ防水性、膜面の強さ、接着力、そして独特の光沢は、実用性とともに装飾美を兼ね備えて出色である。漆のことを外国では「japan」と呼ぶが、その語源は「潤う」「麗し」とされるように日本を代表する特産物なのである。

 この漆により描かれる「とんぼ」「小桜」「菖蒲」「青海波」など、江戸小紋にも見ることができる伝統の柄は数百種類に及び、甲州印伝の特色の一つとなっている。

 かつて「とんぼ」は武士の間で「勝虫」と呼ばれ、武具装飾にあしらわれた。また桜の散りゆく様は武士道にも通じ、その文様は鎧や兜を飾った。印伝の日常用品一つひとつには、歴史とロマンが息づいている。現在、代々名跡を継ぐ13代目上原勇七氏(80)が、その山印マークの暖簾を守る。

 千鳥格子に似た連続模様の男性用「隼人」の手提げバッグ(5万5650円〜)もいいが、充実した女性用アイテムから長年連れ添った奥さんへのプレゼント品にも最適である。(谷口和巳)

 ◆印傳屋本店 山梨県甲府市中央3の11の15 (電)055・233・1100。直営店は青山店・心斎橋店・名古屋御園店

 ■谷口和巳(たにぐち・かずみ)団塊世代の編集者。4つの出版社を転籍、19の雑誌に携わり、編集長として4誌を創刊。団塊世代向け月刊誌『ゴーギャン』元編集長。『女優森光子 大正・昭和・平成−八十八年激動の軌跡−』『帝国ホテルの流儀』(共に集英社)などの書籍も手掛ける。

 

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