NZで起きている「普通でない」M7の地震

2013.06.28


大きな被害が出た2011年のニュージーランド大地震。いま、首都の地下で“異変”が【拡大】

 この1月から、ニュージーランドの首都ウェリントンの地下40キロのところでマグニチュード(M)7という大地震が「起き続けて」いる。

 いや、群発地震ではない。たったひとつの地震が、半年もかかって、実にゆっくりと進行中なのである。

 ニュージーランドは日本とよく似た地震と火山の国だ。日本と同様、太平洋プレートが東から地下に沈みこんでいる。2011年には大都市クライストチャーチの近くでM6・1の地震が起きて、日本人28人を含む185人が犠牲になった。

 M7とは、この国に西欧人が入植して以来、最大の地震だ。普通の地震として一挙に起きれば、大変な被害を生じる可能性がある。しかし、いま起きている地震は、地下にある巨大な地震断層が、日々、ミリの単位で動き続けている不思議な地震なのである。

 このような地震があることが分かったのは世界でもごく最近だ。いままでの地震計では捉えることはできなかった。精密で時間分解能もいい地殻変動の観測が行われるようになってはじめて、このような現象が起きることが分かったのである。

 普通の地震計でさえ感じないのだから、住んでいる人たちは何も感じない。もちろん、被害もない。

 普通の地震は地震断層が一挙に滑る。「一挙に」というのは、数秒とか十数秒以内という時間である。しかし、いま起きているニュージーランドの地震は、半年もかかっている。

 実は、その2つの種類の中間にも地震があることも分かってきている。「一挙」ほどではないが、数分とか、数十分とかかかって地震断層が滑る地震である。

 1896年に起きて東日本大震災よりも多くの津波による犠牲者を生んでしまった「明治三陸地震」は、この種の地震ではなかったか、と思われている。もちろん、当時は分からなかった。

 この地震が起きたときに、沿岸の人々はせいぜい震度2か3しか感じなかった。そのうえ揺れがとてもゆっくりだったので、地震とは思わない人が多かった。

 しかし、大津波が突然襲ってきて2万2000人もの犠牲者を生んでしまったのである。

 つまり、この地震は、「震動」は小さかったが、津波だけが大きくなる地震だったのである。震源断層がゆっくり滑ると、このようなことが起きる。

 ニュージーランドの地震は幸いなことに、もっとゆっくり滑っている。上に住む人々は、気味が悪いが我慢するしかあるまい。

 このような「普通ではない地震」が巨大地震が繰り返す間にはさまっていて、巨大地震の繰り返しを左右しているのではないか、と思われはじめている。「次の大地震」を恐れている日本にも、ひとごとではないのだ。

 ■島村英紀(しまむら・ひでき)武蔵野学院大学特任教授。1941年、東京都出身。東大理学部卒、東大大学院修了。理学博士。東大理学部助手を経て、北海道大教授、北大地震火山研究観測センター長、国立極地研究所所長などを歴任。『直下型地震 どう備えるか』(花伝社)など著書多数。

 

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