110年の技が光る オーダーシャツ専門店「ナカヤ」

2013.07.18


オーダーシャツ専門店「ナカヤ」【拡大】

 「ワイシャツ屋として店を始めたのは、1903(明治39)年です」という金子章さん(65)は、ナカヤ3代目店主。「もともとは江戸時代から中屋の屋号で糸屋を営んでいたが、その由緒はわからない」そうだ。「父の幸(こう)からよくいわれたのが“中道を行きなさい”という言葉。これは祖父の忠吉から伝えられたもので、金子家の家訓」になっている。

 「ハイカラ」がはやった時代から戦前まで、ナカヤの店員はワイシャツではなく着物姿で接客していたという。

 オーダーは、まずは採寸から。その前に、ゆったりと着る、ぴったり着る、トラッドに着るなど「お客さまの好みや要望をじっくり聞くことを大切にしています」(金子さん)。「肩を少しドロップさせる」「襟をちょっとだけ高くする」などの判断を加え、客の体形のクセを数値化していく。「シャツは肩に乗った生地。首から肩にかけての角度、肩の厚さ」を特に重視する。

 採寸箇所は30カ所を超える。その採寸データを型紙に起こして生地を切るのは、この道60年の山本●(=ごんべんに九)吉(やすよし)さん(76)。生地をカットする際、山本さんは裁ち鋏を使わない。手にするのは日本刀と同じ刃の専用の包丁である。

 「鋏は生地を重ねて切っていくと、必ず何ミリかずれが出てしまう。包丁なら生地を30枚重ねても決してずれません」。店主の金子さんですら「一度も切らせてもらったことがない」という部位別に6種類ある包丁は昭和30年に造られたもので、「毎日研いでいるから4割減になった」と山本さんは愛しむ。

 部位別にカットされた生地が縫製専門数十年の職人の手にわたり、仕上げ屋を通して最後に山本さんが検品したものが金子さんの元に届くという仕組み。採寸から仕上がりまで約2週間、すべてに熟練の手と目が光る。

 生地は、エジプト綿をはじめヨーロッパコットンを中心に数千種類の見本があり、織り方、色、柄を自在に選べる。白無地1万7800円からイタリア・カルロリーバの生地4万6000円まで。

 襟、カフス、ボタンはもとより、ボタンホールやボタンを留める糸の色にまでこだわれるのは、オーダーシャツの醍醐(だいご)味である。 (谷口和巳)

 ◆GINZAナカヤ 東京都中央区銀座5の8の16ナカヤビル2F(電)03・3571・1510

 ■谷口和巳(たにぐち・かずみ) 団塊世代の編集者。4つの出版社を転籍、19の雑誌に携わり、編集長として4誌を創刊。団塊世代向け月刊誌『ゴーギャン』元編集長。『女優森光子 大正・昭和・平成−八十八年激動の軌跡−』『帝国ホテルの流儀』(共に集英社)などの書籍も手掛ける。

 

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