【日本の解き方】増税慎重論は円高・株安の要因か? 眉ツバ発言するのはデフレ容認派&財務省応援団

2013.08.06

 7月下旬、株価が下落し、円高になる場面があったが、これについて「消費増税に対する慎重論が誘発している」という記事を見た。増税慎重論が日本の財政再建への遅れを意味するからだという。

 日々の株価について、市場関係者と称する人々はわかったかのように解説しているが、どれだけ正しい説明になっているのだろうか。

 実際の株価や為替の日々の動きをキチンと説明するのはかなり難しい。統計的な分析をしても、短期的には予測不能なランダムな動きをするので、こういう事件があったから株価が動いたという説明は怪しいことが多い。

 もし、説明が正しいのであれば、「対称性の原則」を満たすはずだ。それは、原因が逆の動きの時には、株価は逆の動きになるはずという原則だ。つまり、消費増税に対する慎重論が出ているから株価が下がるというのであれば、逆に消費増税に対する積極論が出たときに株価は上がるはずだ。

 消費増税への積極論でいえば、消費増税法案が国会で成立した昨年8月10日や、同法案が国会提出された3月30日の株価は高くなっていいはずだ。消費増税の国会審議中も株高になるだろう。だが実際には、8月10日の日経平均株価は8891円44銭で前日比87円16銭安。3月30日は1万0083円56銭で31円23銭安だった。国会審議中の4カ月間で、平均株価は1192円も安くなっている。

 為替をみても、8月10日は1ドル=78円25銭で前日比30銭の円高。3月30日は82円79銭で前日比39銭円安だったが、国会審議中を通じて4円54銭の円高となっている。

 こうした事実から見ると、増税慎重論が株安、円高になっているという議論は対称性原則を満たしていないことから、かなり眉唾である。増税慎重論で日本の財政再建への遅れが懸念されるのならば、長期金利が上昇するはずだが、今のところ長期金利は落ち着いていることも、つじつまがあわない。

 統計的には予測不能な短期的な株価の動きについて、断定的に言う市場関係者が少なくないが、ほとんどがポジション・トークである。「○月危機」というのもその類だ。もし本当に予見できているのであれば、莫大(ばくだい)な利益が入るはずで、その貴重な情報を公言するはずない。増税慎重論の株安・円高説も似たようにポジション・トークであろう。

 こうした発言をするのがどういう市場関係者かといえば、アベノミクスの効果を見誤った人か、財務省の応援団であろう。これまでのところ、実体経済の指標の9割程度は上向きなので、これらを見誤った前者の人は経済分析について救いようがない。後者の財務省応援団は、債券運用が多い地銀や生保に多い。景気が良くなるといずれ長期金利が上昇するが、それに対応できない人たちだ。

 そうした人が苦し紛れに、景気を良くしたくない、デフレのままでいいと言っているのは残念なことだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

 

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